植物の化学


2017年2月2日

植物は、『薬草』として昔から人間に利用されてきましたが、その成分のほとんどは、植物体内
で作られた化学物質です。私たちがごく身近に利用している薬の中には、植物由来の成分を
工業的に大量生産したものが随分含まれます。さらにまだまだ未知で有用な成分があるはず
なのできっと、その分野の方々には植物は魅力的な研究対象になっていると思われます。

世間ではハーブに代表されるように、自然由来の物質は、安全で安心のように言われて
いますが、植物は結構、人間にとって危険な『化学工場』でもあるようです。毒草と呼ばれる
ものは私たちには馴染みやすい例えですが。というのも、植物は、ただ意味も無く化学物質を
作っているわけではないからです。このあたりのことを今月の花でハナミズキさんが、
冬に植物が赤くなるのはどうしてか、ということで、説明してくれました。

自身を守るためと言う意味で、虫などに葉が食べられたとき、単に食べられ放しではなく
それに対処する物質を体内で生み出すと言うことを以前知ったことがあります。
それは明らかに、防衛的な攻撃のはずなので、生産された物質は相手にダメージを
与えるものに違いありません。

随分前。かつて企業で農薬の開発に携わっていたK専務が、農薬開発や認証までの非常に
厳しいチェックや試験作業の話をして。その後で、「だから私は虫が食べて穴だらけの野菜
は体内にどんな成分が入っているのか分からないから不安です。」と、『正規』の有農薬野菜
を主張していました。確かに。植物はそれほどお人よし・・否『お植物好し』という訳では
なさそうです。

生きる力と言えば、真冬でも元気でグングン育つ雑草にはヤレヤレの状況です。
U君とA子さんが公園の花壇管理で7袋分を抜いてきました。冬の雑草は、土が湿って
細かい根に張り付きます。植物も必死で冬越しのために地面にしがみついているのを
1本1本抜き取る作業は、夏の除草とはまた違う根気のいる作業です。一手間で春の
花壇の花の勢いが変ります。

キンギョソウが開花すれば随分印象が変ります。

チューリップも順調に伸びてきました。

グラデーション花壇です。

 

キレイ!もいろいろ


2017年2月1日

数年前に東京に研修を受けに通っていたときがありました。
カリキュラムの中に、造園業界では名の知れた女性造園設計家のS先生がおられました。
その先生の言われた言葉の中でも特に二つの言葉がときどき心に浮かびます

「お庭はあなたの『作品』ではない」と「あなたのキレイと私のキレイは違う」というものです。
出来上がりの状況が『絵』になった方が、見た目は華やかです。本来お庭はお客様が
日々暮らす場です。だから私たちは絵になることより、末永く楽しめる庭を優先します。
そのために、庭に掛けられる時間を含めお庭に対する思いを、打ち合わせの中で
探ります。植物は植えた当初からどんどん変化します。荒れないように維持するための
労力は当初の設計で随分異なります。

プロの私たちがこれまで見てきた、植物の『行き着く先』ををお話すると、実はお客様の
イメージと違っていることもよくあるのです。植えたときに可愛い苗木が、16年後には、
見上げるばかりの大木になり、お隣からの苦情でチェーンソウで切った残骸を2t車で
運ぶようなことは珍しいことではありません。木の根の先端がガレージの壁やU字溝を
押してひびが入ったり。狭いスペースに植えられた人の背丈ほどの木でも、放置すれば
伸び放題で、建物と逆の方に倒れてきます。樹木や草花でも涼しい場所を好むものは
大阪の夏を越すことは至難の業です。生き物であることの良い面悪い面はどうしても
出てしまいます。私たちもこれまでの経験から、別の選択肢なども一応ご提案致します。
ですが、やはりそこに暮らす人が、最後はどうであれ、しばらく一緒に暮らしたいという
思いが一番大切であることには変りありませんが。

『キレイ』に関してはS先生の言葉に説得力はあります。私が行う寄せ植え教室で
いろんな種類の組み合わせを持参するのもそのためです。実際選び方は分散します。
特に色の好みには個性が出ます。ちなみに、私の好む少々褪せた感じの色合いは
K専務には『汚い色』とバッサリ切られます。もっとも、若手のU君もやや渋い系を
「良い色」に選ぶので、K専務とは世代間ギャップ?があるのだと勝手に思っています。

先日U君が考えた公園の花壇の配色などはやはり一味違う色の使い、参考になりました。
自分の嗜好だけにこだわらないように、できる限り雑誌や本、時に実物や画像などを
見るようにしています。以前は日本支部があったのですが、英国王立園芸協会の
月刊誌も参考文献の一つです。ネットで注文しますが、ポンド安(EU離脱のせい?)で
以前より安い価格で入手できるようになりました。私の語学力では画像だけで大いに
楽しんでいますが。

私の「キレイ」を集めたスクラップ帳です。何冊かあります。

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