キレイ!もいろいろ


2017年2月1日

数年前に東京に研修を受けに通っていたときがありました。
カリキュラムの中に、造園業界では名の知れた女性造園設計家のS先生がおられました。
その先生の言われた言葉の中でも特に二つの言葉がときどき心に浮かびます

「お庭はあなたの『作品』ではない」と「あなたのキレイと私のキレイは違う」というものです。
出来上がりの状況が『絵』になった方が、見た目は華やかです。本来お庭はお客様が
日々暮らす場です。だから私たちは絵になることより、末永く楽しめる庭を優先します。
そのために、庭に掛けられる時間を含めお庭に対する思いを、打ち合わせの中で
探ります。植物は植えた当初からどんどん変化します。荒れないように維持するための
労力は当初の設計で随分異なります。

プロの私たちがこれまで見てきた、植物の『行き着く先』ををお話すると、実はお客様の
イメージと違っていることもよくあるのです。植えたときに可愛い苗木が、16年後には、
見上げるばかりの大木になり、お隣からの苦情でチェーンソウで切った残骸を2t車で
運ぶようなことは珍しいことではありません。木の根の先端がガレージの壁やU字溝を
押してひびが入ったり。狭いスペースに植えられた人の背丈ほどの木でも、放置すれば
伸び放題で、建物と逆の方に倒れてきます。樹木や草花でも涼しい場所を好むものは
大阪の夏を越すことは至難の業です。生き物であることの良い面悪い面はどうしても
出てしまいます。私たちもこれまでの経験から、別の選択肢なども一応ご提案致します。
ですが、やはりそこに暮らす人が、最後はどうであれ、しばらく一緒に暮らしたいという
思いが一番大切であることには変りありませんが。

『キレイ』に関してはS先生の言葉に説得力はあります。私が行う寄せ植え教室で
いろんな種類の組み合わせを持参するのもそのためです。実際選び方は分散します。
特に色の好みには個性が出ます。ちなみに、私の好む少々褪せた感じの色合いは
K専務には『汚い色』とバッサリ切られます。もっとも、若手のU君もやや渋い系を
「良い色」に選ぶので、K専務とは世代間ギャップ?があるのだと勝手に思っています。

先日U君が考えた公園の花壇の配色などはやはり一味違う色の使い、参考になりました。
自分の嗜好だけにこだわらないように、できる限り雑誌や本、時に実物や画像などを
見るようにしています。以前は日本支部があったのですが、英国王立園芸協会の
月刊誌も参考文献の一つです。ネットで注文しますが、ポンド安(EU離脱のせい?)で
以前より安い価格で入手できるようになりました。私の語学力では画像だけで大いに
楽しんでいますが。

私の「キレイ」を集めたスクラップ帳です。何冊かあります。


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