台風の雨
2016年8月29日
今日は、雨のせいで作業も無く、フレックスの夏休みもいて少人数の静かな事務所です。
雨脚がどんどんきつくなって、台風の渦の外側がいよいよ私たちの生活圏の上空をかすって
来た感があります。『かすって』これなら、『直撃』の被害はどんなだろう・・・
と気になるところです。
少し前に和歌山の友人から雨ががほとんど降らなかったことへの農作物の影響を聞きました。
ミカンについては糖度はとても高いそうです。摘果で落とすのは惜しいくらいのものだけど、
大量の作業では悠長なことは言っていられないようです。このあたりは、数千株の花苗植え替えの
際の、花がまだ枯れ切っていないときの、粛々とした作業に相通じます。
休日に、『シ○・ゴジラ』という映画を見に行きました。いろんな人の評判が良く、思わず
その流れに乗ってしまいました。久々の怪獣映画でしたが、一味違いました。
少しネタバレを含みますが・・・
とにかくリアリティがありました。映像もストーリーも。さもありなん情景に、つい引き込まれて
しまいました。想定外のことに、システムが動き始めるための手続きの煩雑さが、よくわかりました。
怪獣自体は、私たちの世代が子供の頃のイメージにあるゴジラでした。ただ、当時のゴジラが、
中に人間が入っているせいか動きも何となく、感情を感じられたのですが、今回のゴジラは、
ある意味、何を考えているのかも分からず、かといって、ハリウッド映画みたいにトカゲの巨大化した
動物と言う感じでもないのです。それがなんとも言えず、不思議な生き物で何かと似ているなあと
思っていました。文字通り、人智を超えた雰囲気が、映像によく描かれていました。
ハリウッド映画は、ゴジラは魚を食べていたような気がします。昔の日本のゴジラは放射能?を
食べていたし、とにかく『食べる』ことで『動物』に近いイメージを感じていましたが、今回ゴジラは
体内でエネルギーを溜めていくというのか、水と空気で、エネルギーを生み出し、動き回るけど、
じっとしている時間もあって、周囲に無感情だけど、攻撃されたことには反応する・・・それで、
思い当たったのが、『植物』でした。植物も昆虫などに攻撃されたら、それに対抗する物質も
作り出します。が、狩りのためにそのようなことはしません。
さしずめ、先日みた『シンパク』のような巨大な樹木が動き始めたらあんな感じかもしれないと
思いました。何となく、猛々しいというより、神々しい?怪獣像のイメージが残りました。
小さな小さな小さな生き物の話 PART3
2016年8月5日
新学期が始まって、責任者探しというのか、今回の件についてさまざまな議論が
発生しました。当時、犠牲者が出たこと、また責任追及で自ら命を絶たれた方もおられ。
何が真実なのかも分からず、とにかくわが子の命は自分で守らなければいけない
という悲壮感と同時に不信感などが漂って、あまり良い状況ではありませんでした。
あれから20年。先日後遺症が原因で亡くなられた方のニュースを見て、胸が痛みました。
事件の後、再開された給食は袋に入ったジャムでさえ煮沸消毒され、生野菜は一定の
濃度の殺菌剤で洗ったり。除菌、殺菌の方向に物事が流れていました。ただ、同時に、
腸内細菌をすぐに殺してしまう結果の怖さも知ることとなりました。
当時息子に、同じテーブルで食べた5人のうちなぜ○○君だけ発症したのか思い当たる
ことが無いか尋ねました。○○君はその日もとても元気で、他の子供と一緒におかずの
お代わりをしたのです。たまたま菌の数が多い部分を選んで食べたとは考えられません。
「そう言えば、牛乳を飲むときみなで○○君を笑わそうとしたので、一気に飲んでいた。」
そこだけが違うと言います。もしかして胃酸が薄まって菌が繁殖しやすかったのでしょうか。
他にも、私が知る限り、普段より体調が悪かった状態で発症した子どもも何人かいました。
風邪気味だったり、睡眠不足気味だったなど。特殊な事例として、「うちの子供は普段
絶対野菜が嫌いでほとんど食べないのに。どうしてあの日の給食の野菜を食べた
のかしら」と言われたお母さんがおられました。すべて、検証などされていませんが。
最近しきりと、腸内細菌が多様にあることが大事だと叫ばれるようになりました。免疫力
についても少しずつ解明されるようになりました。小さな小さな小さな生き物ですが、
微生物は侮りがたい影響力を持っています。
実は、土の微生物の重要性を思うにつけ、私はこのO157のことを思い出してしまいます。
植物の健全な生育のためには、土壌の中に多様な微生物が存在する=人間にとって
腸の中に多様な微生物がいる、というイメージを浮かべるからです。
私たち人間を育む土壌というのは腸の中身のことで、それをいかに大事にするかと言うことが
健康に生きることとつながるのかなと思いました。で、さらに私の妄想はつづきます。
(もしかしたら、植物から見たら人間と言う生き物は、体が『裏返って』いて、葉緑素も無く
なましろく、自分たちで栄養を作れず、他者を捕食するために『動き回る』超恐ろしい化け物!
なのかな・・・)と。
アニメの『○○の巨人』、それは植物から見たら『人類』のイメージそのものかもしれません・・・
小さな小さな小さな生き物の話 PART1
2016年8月3日
今から、20年ほど前の夏。ちょうど今頃、堺市は大変なことになっていました。
その年の我が家の年賀状にそのときの様子が文章で残っています。
『いろいろご心配をかけてすみませんでした。それは夏休みのちょうど1週間前の
7月13日の夜から始まりました。家の周りで、救急車が走りまわり、何事かと
思うと緊急連絡網の電話がかかってきました。何でも学校で食中毒が発生し、
月曜日から学校はお休みです。と言う内容でした。何がなんだかわからないまま、
街中から子どもの姿が消えました・・・・・』
学校給食の中に混じっていたO157菌による食中毒の事件でした。
保護者も合わせて6000人規模の発症者が出ました。
私たちの住んでいる南区の事態は結構深刻で、4年生の次男の学校は5人に
一人が発症し、ひどい所はさらに発症率が上がって重症者も増えました。
逆に、ほとんど発症者が出ていないところもあり、『堺市』と言っても
地域ごとにバラバラな状態でした。1996年のことです。
当時、私はインターネットを始めたばかりでした。不慣れながらもキーワードに
O-157を入れたら、たくさん出てくるのは英語のサイトでした。突然子どもの
大きな画像が出てきたり、???でした。ようやく日本語のサイトで、死亡に
いたる病原菌で、しかも当時のアメリカでは毎年同じように被害者が出ることも。
最初に見た子どもの画像は、被害者の遺影だったことも知りびっくりしました。
今では考えられないことですが、あの頃、医療関係者のサイトに一般の私も
入ることができました。そこでは医師の方々が必死で治療法のやり取りを
していました。素人の私でさえ医療現場が混乱しているのが分かりました。
(後日実際に医療現場で関わった方の話を伺う機会がありましたが、それは
それはすさまじく、寝食もままならず、戦場のごとくであったようです。)
ネットのやり取りの中でこんな文章も出ました。
「・・抗生剤を使うな!使ってはいけない!この菌を殺してはいけない・・・・・・
腸内の菌を殺菌してはいけない。症状の軽いものには整腸剤程度しか出しては
いけない・・・」 ・・・・の部分は医療用語です。
今でこそ『ベロ毒素』というO-157菌が死んだ後にまきちらす物質の正体は
明らかになっていますが、残念ながら当時は、その情報は常識化していませんでした。
そのせいで初期対応の差からたくさんの子どもたちが痛ましい被害を受けました。
『ベロ毒素』が理解され、特別番組で毎晩のようにテレビでO-157の恐ろしさが
喧伝されるのを、家にこもっていた次男も含め、家族で見ていたら、ポツリと、
「ボク、死ぬの?」と聞かれました。すっかり逆上した私は生まれて初めて
テレビ局に抗議の電話を入れました。あの頃、看病に携わる親はもちろん、
発症していなくても、みなピリピリとした状態でした。そのピリピリ感はどんどん
広がり、パニックのように、その後『堺市民差別』にまで至りました。