時の過ぎゆくままに・・・


2014年11月18日

今日は男性陣の一部はH小学校の芝刈りと施肥の作業でした。
ちょうど一か月前に行われた、オーバーシーディングの芝草が芽を出し、色あせていく
張芝の表面が青々と蘇ってきました。

軟らかな緑が、この冬中残っていると、オーバーシーディングの値打ちが出ます。
張芝に比べると、西洋芝の葉はとても柔らかく、同じ芝生でも違った感触です。
運動場に芝生があって、その上に子供たちが戯れる景色というのはとても素敵です。が、
本当は、学校というのはそんな穏やかな日々だけではないのです。

先日、かつて私が勤めていた小学校に、園芸委員会の指導を兼ねた花壇の植え込み
に行きました。私が新任だったころの先輩のS子先生が数年前に赴任されて以来
この時期に声をかけて下さいます。5,6年生30名ほどと一緒に200株ほどの苗を
植え付けます。委員会の先生方もついて下さいます。
最初に、教室のモニター画面で、土や水や肥料や、雑草の話をします。
少し『理科っぽい』話になりますが、教科書で扱わない分野なので
結構興味を持ってくれます。その後の作業は、『現場作業』色を出し、
「スコップはこう持ってこう使います!」といつものように、逆手持ち?で
力いっぱい土に突き立て、手際よく植え込むとちょっと感心してもらえます。
と、ここまでは順調なのですが・・・初めて苗を植える子供も混じっています。
30人ほどの子供たちのそれぞれの作業量や、作業時間や集中力が違う中で、
一人で植えてしまえばあっという間の作業を、『やってもらう』ことの大変さを
いつも感じます。あの短時間でさえそうなのだから、学級経営は大変だろうなあと
思いました。

植栽は常に管理が大事です。学校に芝生があることを支えていくのは、
いろんな方たちの連携や協力はもちろん、省力化もポイントだと思いました。
それでも、一見やんちゃそうに見える子供が、積極的に手伝ってくれる姿は、
とても微笑ましいものでした。後日S子先生から、子どもたちが自分たちの植えた花壇に
いつもより思い入れを持って水やりをしていると伺いました。
卒業式や入学式には花いっぱいになって欲しいです。

 
新任の時に教えていた教室です。30数年前は
つやつやだった樹皮に我が身も重なり、歳月を感じます。

 

薬草園


2014年11月11日

最近、週末になると雨が降るのですが。
先日は、その雨の中を京都のT薬品工業の薬草園の見学に行きました。
T薬品工業は、私たちの世代にとっては子どもの頃テレビの『ウ○トラQ』や『ウ○トラマン』の
スポンサーとしてなじみ深い会社でした。当時の番組を思い出すと今でも必ず、T社のマークと、
社名を連呼するCMソングが浮かんでくるほどです。
以前から、薬草に興味があり、薬学部併設の薬草園を見学したこともありました。
ただ、こちらの薬草園は規模がとても大きいのです。しかも年に二回春と秋に、
一般開放(要事前予約)をされていることを知りました。

春の開放(3月30日)は、薬草園ではなく、ツバキ園でした。ツバキはとても奥が深く品種が多く、
凄いボリュームでした。貴重な品種や稀少な品種も含め、とても丁寧に説明して頂きました。
  
今回の薬草園も同様でした。実は私は『薬草』について少々認識不足でした。
以前から、庭先に薬になる植物を植えて、健康に生かすのはどうかと思っていたのですが・・・

元々漢方薬というものは、単に一種類の植物を利用するのではなく、薬効のある植物を
数種類以上混ぜて使用するのだそうです。時には効果を打ち消し合うものを
混ぜたりしながら、効果のバランスを考えるのだそうです。そのさじ加減?というのが
技術になっていきます。薬草園では、漢方薬の調合に合わせて植栽してあり、
漢方薬名の読み方(漢文調)で、何に効果があるのかをも理解できるのです。
温室では熱帯で育つ有用植物が展示されていました。屋外の植物の使用部位で
一番多かったのは、根でした。樹皮も多く、利用できるまで育てるのには
ある程度の年数がかかるようです。
植物の持つ薬効性は同時に毒性でもあります。利用の際には特殊な処理を行うそうです。
生えている植物を乾燥させて使って安全なものは非常に限られると聞きました。
天然由来のものにはつい寛大になりますが、化学成分上では人工のものと変わりありません。
そもそもそのことが、製薬産業を大いに発達させた理由でもありますが。
やはり植物を薬草として使うのは古くから伝わるお茶などのように長期間使われたもの以外は、
専門家に任せた方が無難なようです。

人間と植物の関わりの歴史のとてつもない長さと、深さを感じました。
最後に、資料館でさまざまな漢方の素材を見ました。私はタイムの和名の『麝香(ジャコウ)』
の香りがかぎたかったのですが、ガラスケースが厚くて無理でした。
実際に嗅いだことがあるというT社の方にどんな香りか伺うと、顔をゆがめるがごとく、
「とてつもなく臭いにおいです。今ジャコウはワシント条約に抵触するので本物は入手
困難です」とのこと。薄めると良い匂いになるのが不思議で益々、気になる香りです。
たくさんのT社の方たちに丁寧に説明して頂き、一味違う植物との楽しいひと時でした。

近くの曼殊院門跡のお庭も紅葉がきれいでした。
 

 

 

 

恐るべし仏の座(ホトケノザ)


2014年11月5日

今日はランドケアのS社長他数名とで大道筋の植え込み作業でした。
先週に大掛かりな秋の除草作業を終えていたので、すっきりとした景色になりました。
ここはとにかく、除草作業が大きなウェイトを占めています。
今回、S社長とUさん中心に、その大変な部分を終えてもらっていたので、
私は立体花壇の花の植え替え作業に参加しました。
すっきりとした地表面を良く見ると、たった一週間でも小さな芽が出ています。
ホトケノザです。夏草で苦戦したハマスゲもだんだん葉色があせて、
少しホッとしたのもつかの間。ホトケノザは冬の雑草の中でもやっかいなものです。

花は赤紫色の可愛いものです。立ちあがって先端に咲きますが、良く見ると
下の部分にも小さなつぼみのようなものがたくさんついています。
この『可愛さ』につられ、つい、冬場残してしまうと結構後が大変です。
雑草の花を見るというのは、即『花=結実』、つまり種がばらまかれるということです。

可愛いたくさんの紅色の花の数×大量の種が発生します。しかも、
ホトケノザは、『閉鎖花』と言って、花が咲かなくても小さなつぼみの中で
受粉して種ができます。可愛い花の下の小さなつぼみ群の中でもせっせと
種づくりをしているのです。それが地面にばらまかれるので、毎年この時期に
地表面を埋めるがごとく、とてつもない量のホトケノザの小さな双葉が発生しています。

生育するにしたがって、とても細い根が、たくさん出て土中に張ります。
地中深く根を張って生き残るタイプではなく、浅い土でも細かい根で
しがみつく?タイプです。
そこそこ大きくなった頃、気温も下がって、土が凍るような時期になります。
午前中の作業時間には、土が水分でべっとりしている上に、根が細かい土を
抱え込んで、いわゆる『根圏土壌』ごと、マットのようにはがれていくので、
とても扱いづらくなり、土が取られてしまいます。それを落とす作業も大変です。

とまあ、いつも雑草との格闘の中で、相手を観察しているのですが。
生きていく戦略とたくましさは、敵ながらあっぱれです。
ちなみに秋の七草の中のホトケノザはキク科のタビラコというものです。


ページトップへ