薬草園


2014年11月11日

最近、週末になると雨が降るのですが。
先日は、その雨の中を京都のT薬品工業の薬草園の見学に行きました。
T薬品工業は、私たちの世代にとっては子どもの頃テレビの『ウ○トラQ』や『ウ○トラマン』の
スポンサーとしてなじみ深い会社でした。当時の番組を思い出すと今でも必ず、T社のマークと、
社名を連呼するCMソングが浮かんでくるほどです。
以前から、薬草に興味があり、薬学部併設の薬草園を見学したこともありました。
ただ、こちらの薬草園は規模がとても大きいのです。しかも年に二回春と秋に、
一般開放(要事前予約)をされていることを知りました。

春の開放(3月30日)は、薬草園ではなく、ツバキ園でした。ツバキはとても奥が深く品種が多く、
凄いボリュームでした。貴重な品種や稀少な品種も含め、とても丁寧に説明して頂きました。
  
今回の薬草園も同様でした。実は私は『薬草』について少々認識不足でした。
以前から、庭先に薬になる植物を植えて、健康に生かすのはどうかと思っていたのですが・・・

元々漢方薬というものは、単に一種類の植物を利用するのではなく、薬効のある植物を
数種類以上混ぜて使用するのだそうです。時には効果を打ち消し合うものを
混ぜたりしながら、効果のバランスを考えるのだそうです。そのさじ加減?というのが
技術になっていきます。薬草園では、漢方薬の調合に合わせて植栽してあり、
漢方薬名の読み方(漢文調)で、何に効果があるのかをも理解できるのです。
温室では熱帯で育つ有用植物が展示されていました。屋外の植物の使用部位で
一番多かったのは、根でした。樹皮も多く、利用できるまで育てるのには
ある程度の年数がかかるようです。
植物の持つ薬効性は同時に毒性でもあります。利用の際には特殊な処理を行うそうです。
生えている植物を乾燥させて使って安全なものは非常に限られると聞きました。
天然由来のものにはつい寛大になりますが、化学成分上では人工のものと変わりありません。
そもそもそのことが、製薬産業を大いに発達させた理由でもありますが。
やはり植物を薬草として使うのは古くから伝わるお茶などのように長期間使われたもの以外は、
専門家に任せた方が無難なようです。

人間と植物の関わりの歴史のとてつもない長さと、深さを感じました。
最後に、資料館でさまざまな漢方の素材を見ました。私はタイムの和名の『麝香(ジャコウ)』
の香りがかぎたかったのですが、ガラスケースが厚くて無理でした。
実際に嗅いだことがあるというT社の方にどんな香りか伺うと、顔をゆがめるがごとく、
「とてつもなく臭いにおいです。今ジャコウはワシント条約に抵触するので本物は入手
困難です」とのこと。薄めると良い匂いになるのが不思議で益々、気になる香りです。
たくさんのT社の方たちに丁寧に説明して頂き、一味違う植物との楽しいひと時でした。

近くの曼殊院門跡のお庭も紅葉がきれいでした。
 

 

 

 


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