ミーダス王の嘆き


2009年6月17日

三流の社長は何でも自分でしたがる。
という言葉があるそうですが、したくてもできないこともある私は
さしずめ「四流以下社長」でしょうか。
このところ現場作業が続いています。
暑さの中の作業はテンションも下がり気味です。
特に、今年のようにいろんなことが日程上重なることが増えた場合
あれもこれもと段取りを組んでしまうので「濃い」作業になってしまいます。
亡くなった父がよく「現場を大事にしろ」と言っていました。
この4月に社会人になった駆け出しエンジニアの長男も、
いろんな製造現場で研修を受けながら、
「現場作業は機械的なイメージがあったけど。実際は、働く人が
さまざまなことを考え、工夫をしながら作業をしている」と
今さらながらに、感心しています。
現場の作業をするのは生身の人間です。
粛々と見えて、心や頭が大いに働いています。
いっしょに汗を流していると、経験値が少ない私には
数字だけ眺めていては見えないことがいっぱい出てきます。
ただ最近の厳しい時勢の中で、数字を頭に入れながら、生身の限界に
挑む毎日は、少々身も心も壊れつつあるような感じです。
世の中にはたくさんの人が、それぞれの役割をこなしながら
社会を作っています。小学校の教師時代、社会科で「働く人」というのを
取り上げていましたが、小さな穴からほんの一部をのぞいていたにすぎません。
そんなことを身近に感じながら生きている私が、先日、
金融学を教えている主人の友人と主人の3人で話す機会がありました。
生の金融の世界を見聞きした経験を生かして、教壇で
講義をしたり、執筆している「マネー経済」に詳しい方です。
金融教育や、行動経済学などなど、私には、目が点になるような
話題が続きます。
この世界では、地球上のものを20個分買える、
つまり実態経済の20倍のお金があふれていると言われます。
そのイメージは、子供の頃読んだギリシャ神話を連想させます。
神様を歓待したご褒美に、「どんな願いもかなえてやる」と
言われた、ミーダス王が、触るものをすべて黄金に換えて欲しい
と願った話です。
最初は大喜びのミーダス王が、愛する娘はおろか、
飲むものも、食べるものも黄金になり、嘆き悲しむという話です。
未来はどんな方向に向かうのでしょうか。
文字通り、地面を這っているような仕事の私たちにとって
縁遠いことでありながら、なんだかちょっと空恐ろしい気持ちです。
明日も暑さの中、土を相手に格闘です。夕立が恋しいです。


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