なごり雪


2014年3月6日

というより、ちょっと季節が逆戻りしたような一日でした。
花粉症だと思っていたのがどうも風邪だったようで、私には寒さが身に染みる一日でした。

男性陣は個人邸の作業でした。立派なダイスギが玄関横に植えられました。
ダイスギは、K専務が卸元に買い付けに行って過日選んでおいたものです。
たくさん並んでいる木からそのお庭にふさわしい木を選ぶのは
人と人との出会いに似たところがあります。ビビッと感じるというのか、
イメージが合うというのか。しっかり印をつけて帰り、昨日雨の中を
受け取りにいったものでした。良い木が手に入ったので作業にはずみがつきます。
樹木は背が高く、幹周りの大きい(太い)ものほど根鉢が大きく、とても重くなります。
時に、根鉢を地面において傾けると、やじろべえのように地上の枝葉や太い幹が
大きく傾いて斜めになっても横に倒れない状態で静止します。
それを吊り下げて(あるいは何人かがかりで)積み込んだり下ろしたりの作業になります。
もちろん、根鉢は樹木の生命の源なので、これがバラバラにならないように
気を遣いながらの作業です。
植え穴に樹木の向きを考えながら植え込んで、土を入れながら、また水を注ぎながら土を突いて
根と周囲の土とを接着させる作業を丁寧に行います。主役が定まった後、そばの
『元』池で今は花壇の箇所を、坪庭風に仕立てました。フイリツワブキや、フイリヤブコウジ
などの地被に。アクセントのオタフクナンテンなど。和風のメリハリのあるものです。
土を少し盛り上げたボリュームたっぷりのタマリュウの中に、流れとたまりに見立てた
那智石が配されました。

最近余り大きな樹木を植え込まないお庭が増えてきていますが、やはり小さい木や
低木や草花だけとは違って、ある程度高さのある樹木が入るとお庭にちょっと風格が出ます。
さらに、年月の経っている石などが入ると、もっと値打ちが出るなあとは『植木屋』の言葉です。
公共の仕事のように決まった規格のものを植え込んでいく造園工事の場合と、個人邸のように
1本1本に役割を持たせる場合など。個人邸向きの植木屋と、公共工事が多い造園屋の仕事に対する
微妙な意識の違いは作業の指示に対する行動にも現れます。何を優先するのかによって、作業の
内容が異なるのは、文字通りケースバイケースなのですが。どうしても『こだわり』が強く
表れる方もおられます。とはいえ、どちらも植物を相手にするという点では同じです。
規模の大小に関わらず、何かを作り上げていった後の達成感は、寒の戻りも吹き飛ばしたようです。

明日も寒くなりそうです。
自動潅水工事に向かうS部長たちには配管がしづらい低温に、ちょっとうらめしそうです。


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