香りの良し悪しはパーソナル


2014年3月4日

春の訪れで幸せな気持ちを感じるのは、私の場合ジンチョウゲの花の香りを
かいだときです。子どもの頃、母方の祖母の家に行くと庭の隅に大きな
ジンチョウゲが植えられていました。その花が一面に咲くころには庭中
その香りでプンプンしていました。
園芸の好きな叔父が、そこかしこに花を植えていて。スイセンもいろんな種類が
咲いていた記憶があります。社宅だったその家を叔父が引っ越すときに、
そのジンチョウゲは我が家に来ました。そしてあっという間に枯れてしまいました。
真っ黒になってしまった残骸も心の中に残っています。
ジンチョウゲはよほど小さな苗のときでないと移植は難しいのです。

春の香りは、気温が低いせいか、ふくよかで、奥ゆかしい感じで。しかも
風が冷たいと感じにくくなります。
その点、秋のキンモクセイの香りは強烈で、子どもたちに、「トイレの匂い」
と言わしめるほど、芳香剤のような人工の香りに例えられます。
『良い香り』か、そうでないかというのは本当にその人それぞれの、
感覚や持っている情報(先入観)や、思い出などとつながっているようです。

随分昔に、再生土の小山にカモミールの種を播いて、ミニのカモミールの丘を
作ったことがありました。当時ハーブは今より珍しく「これがピーターラビットに
出てくる『カモミール』です『リンゴの香り』がするでしょ!」と言うと、
大抵の方が、「これが『カモミール』ですか。本当に良い香り!」と応えます。
あるとき、年配の男性が来られたので同じ説明をしました。肺いっぱいに
いきなり吸い込まれたその方の第一声は「なんだこれ!腐った靴下の匂いがする」
でした。『腐った靴下』は謎ですが、確かにハーブ類は賛否の分かれる香りです。
ちなみに、私の場合は、みんなが臭いというカメムシの匂いがあまり臭くありません。
以前延々と続くフェンスに絡まっている、クズを撤去する作業で、その葉っぱに
大量のカメムシがくっついていました。ハサミでツルを取る際にこちらに飛び
込んで。露出している顔面にぶつかってきたり大変でした。
作業するスタッフは自身の身体に沁みついたカメムシの匂いに辟易していました。
が、私は何ともありませんでした。なんとなく、ワックスような良い香りがするだ
けでした。人と違う嗅覚を持っているのかもしれません。少なくとも
カモミールが腐った・・・匂いになるよりは良かったかなと思いますが。

香りは本当に、人それぞれです。


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