立春に


2010年2月4日

今日は公園の年間管理の冬季除草の日でした。
立春を迎えて日差しには温かさを感じましたが、
風は冷たく、腰に貼り付けたカイロの発熱では追いつきません。
炎天下作業よりはましなのですが、低温では分解?の遅い、
犬の糞が多く、機械刈りではそれを自分に跳ね飛ばしてしまいます。
前にも書きましたが、「きれいにすること」と
「汚いことに向き合うこと」は表裏一体です。
日本の社会資本の中で、公園も、維持費を考えると、
もっと有効利用されたらよいのにといつも思います。
10年以上前の夏に、イギリスを私的にレンタカーで回ったことがありました。
当時、環境保全のための緑化の仕事に関わっていたので、
採石地跡の自然復元で有名な場所を中心に、公園や、
芝生や園芸店なども見てまわりました。
あるひなびた町の公園に行くと、きれいな質の高い花壇の合間に
おしゃれな木製のベンチが置いてありました。そこで本を読む
人や、散歩の後に、じっと花を眺めている高齢の方もおられました。
ベンチの背には金色の小さなプレートがついていて
言葉と年号が書いてありました。
その公園にはハーフコースのゴルフ場が併設されていました。
入り口の売店で一人350円(当時)を払うと、首からぶら下げられる、
古い木製のバインダー(鉛筆と、得点表がはさんである)と、
ゴルフクラブを貸してくれます。ゴルフには無知で、
本物のグリーンでゴルフをしたことも無い私は、起伏の多い荒い芝生の
上でボールを打ち込むのは、『不思議の国のアリス』の
ハートの女王のクリケット会場を連想しました。
ビーチサンダル履きの家族連れが楽しそうにプレイしています。
さらに公園の横には、元気の無い木が植えられた広い芝生地がありました。
ちょっと違和感のある、できたばかりのような緑地でした。
どうしても気になって、地元の役場のようなところに行って、
「公園のことで尋ねたい」と言いました。
日本人の観光客の好奇心に、担当の女性はとても親切に応対してくれました。
辞書を片手に質問しました。
随分昔、『危ない英語力』で聞き取った限りですが・・・
ベンチは、亡くなった家族の思い出に一般市民に購入してもらうのだそうです。
出資者の記念にプレート(生没年とメッセージ入り)がつきます。
元気の無い木は、以前ゴミ捨て場だったところを埋め立てた
後に植えた樹木でした。地下にガスが発生しているのか
生育が悪いようです。でも表面の芝生はきれいでした。
予算は聞き間違えたのかと思うほど、安く(10年前の比較ですが)。
思わず驚くと、「ゴルフ場は良いですよ!利益を生むから」と言っておられました。
もちろん植物に関しては気候風土の異なるイギリスと日本で、
維持費の積算は簡単に比較できないかもしれません。
法律なども異なります。
ただ当時のヨーロッパの沈滞ムードは今の日本と通じるような気がします。
身近な社会資本の整備と、利用者もうまくそれを生かしている様子がうらやましいです。


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