始まり


2007年8月28日

私が一番好きな花はスイートピーです。
この花を好きな方は多くて、たくさんの花を扱う人間にしては平凡です。
私の母方の叔父はとても園芸が好きでした。
もう40数年以上も前に、社宅の庭に芝生を植え、池を作っていました。
芝生の周りにバラを植え、それぞれに手作りの名札をつけていました。
電線を巻いてあった大きなドラムにブリキを張ってテーブルをしつらえ
親類を集めて野外のパーティもしていました。
私がまだ小学校へも上がらない頃、その叔父が
ある日素焼きの鉢を大事そうに私に見せてくれました。
それは頼りなげに支柱に寄り添う、小さな花でした。
まるでバレーの衣装のようなフリルと濃いピンクの色が
私の目に焼きつきました。
それが巻きひげといっしょに風でフルフルと揺れているのです。
すぐに私は叔父に「種をちょうだい!」とねだりました。
笑って約束してくれた叔父は後日、私の見ている前で
カサカサになるまで乾いたその苗のさやから種を抜き取ってくれました。
鉢植えだったので、さや数はあまり無く貴重な種でした。
ちり紙に包んだその大事な種を私は家に持ち帰って庭に蒔きました。
残念ながら種まきの時期が外れていたのか芽は出ませんでした。
今から思えば原種のスイートピーだったと思います。
あれから随分日が経って、花屋の店先には
とてもカラフルな大きな花のスイートピーが
並んでいます。寄せ植え用の矮性化したものも出回っています。
私も毎年庭に種を蒔いて育てていました。
それでも、今でもすぐに目に浮かぶ、鮮やかなピンクの小さな花が
私のスイートピーのイメージです。
早く亡くなった叔父の思い出とともに、私の園芸の原点です。


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