稀少な体験?


2011年8月7日

ここ最近、自動潅水組のS部長たちの作業が続いています。
やはり自動潅水は便利な道具です。
個人邸から公共や民間の場所にしろ、いろんな場所での
現場の状況や素材もそれぞれです。またさまざまな不具合の調整も経て
いろんな経験を積んでいきます。
経験は文字通り、知恵の母です。
これまで私たちは仕事を通していろんなことを経験させていただきました。
時に、もう二度とないだろうと思われる特殊な経験もありました。
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うちの敷地の隅には、『実験室』と呼んでいるクリーム色の小屋があります。

中には、農薬庫の他に、電極式phメーターやECメーター。
電磁スターラーやメトラーなどの秤。メスシリンダーやビーカーなど
薬剤散布や土壌の調査をする機材の他に、造園業とは異質なものもあります。
その一つが無菌ボックスで、

他にも恒温器、

数mgまでの薬剤調整をする
特殊な秤

などです。ここで、数年前まで高いアルカリ性を低下させる
微生物の培養の実験を行なっていました。
約10年以上前剪定枝葉のチップを発酵させたものを扱う機会がありました。
私は、それをいつも「微生物の塊」として見ていました。
需要の少ない堆肥ではなく、微生物の働きを利用して
環境浄化に使えないかずっと探り続けていました。
浄化のターゲットは高いアルカリ性の中和です。
いわゆるバイオリメディエーションと呼ばれるものは、閉じた系の中で、工業的に
特殊な菌やそれを生かす安定した環境(温度、水管理などの徹底)など
屋内プラントのイメージが強いものでした。
そうではなく、土着の微生物(ごく普通に土や空気の中にいる微生物)が
自然界の中で行なうことを、人間が手を加えることで、スピードアップを
図れないかというものです。
けれど当時、漠然とした効果は見えていたのですが、何がどんな風に
作用して結果を生むのかをきちんと押さえられず、一番大切な
「再現性」が曖昧でした。それが8年前にいろんな方との
出会いで一気に前に進みました。
一番大きかったのは、D工業のH社長が実験のスポンサーになって下さったことです。
当時、循環型社会の名のもとに、リサイクルを推進する国と、中間処理などで
環境保全に貢献していた業界側との間に見解の相違がありました。
でも以前からリサイクル事業などに積極的に取り組んでおられた業界側のH社長が、
土木工事で発生する高いアルカリ性の土の植栽土壌化に興味を示して下さいました。
当初は実験圃場もお借りしました。

土から生まれるもの


2008年8月22日

今日は、大阪市内にあるD社に年間メンテナンスの作業に伺いました。
D社の社長さんは男性には珍しく、樹木だけではなく、お花もお好きな方です。
本社の入り口の長いフェンス壁面は24個ほどのハンギングバスケットを飾り
足元は花壇をしつらえて、宿根草や、樹木の合間に、1年草の花を植え込んであります。
本社以外にも広い駐車場や少しはなれたプラント施設のそばにもハンギングバスケットを
含む同じような花壇があります。
地域の方たちや訪れる方、社員さんに季節折々の花を楽しんでもらいたいと
いうご希望から生まれたものです。
うちはバスケットや1年草を、年4回ほど交換し、季節感を出すようにしています。
さらに、もう一つこの花壇には役割があります。
この花壇やハンギングバスケットの土は、D社事業の副産物である廃土を土壌改良材で
改良したものなのです。D社が力を入れておられる環境保全の取り組みの一環として、
ずっと街中を彩る花壇を維持してこられました。


本来捨てられるはずだった土から、カラフルな花が生まれ、街を彩る景色は
ちょっと格別なものです。
うちは、共同出願させていただいた、土壌改良材の開発から、自動潅水を含めた
敷地内の緑地の設計・施工、また現在植栽管理まで関わらせていただいていますので、
余計思い入れの深い花壇です。
花の品種選びから、仕入れ、植え込み、養生、管理。
うちがこの花壇で年間に扱う苗数も10000株を超えます。
作業中に、通られる一般市民の方に「きれいね!」と声をかけられることも
あり、とてもやりがいのあるお仕事です。
今日の作業では、訪れるのは人ばかりでないことが分かりました。

コンクリートに囲まれた都会の一画に、社長さんのご方針で生まれた、
小さなオアシスは、今日もいろんなメッセージを発信しています.

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鳴門に行ってきました  08.6.11


2008年6月11日

月曜、火曜日の二日間私は、鳴門教育大学の教壇に立っていました。
この6年間恒例です。テーマは『土壌の再生を目指して』というものです。
随分昔、小学校の教壇に立っていた私ですが、ここ最近
まったく異業種?の世界にいます。
以前再生資源を用いての、大掛かりな緑化の実験事業を通して、
知り合った鳴門教育大学のC先生が、ご自分の授業時間に
私の見聞きした話を学生にして欲しいと言われたことがきっかけでした。
この実験事業は5年前に終了しましたが、生活科を担当されるR子先生から、
稀少な経験なので学生に継続して話して欲しいと言われました。
ご主人のK先生のはからいで、正式に講師として呼んでいただけるようになりました。
一昨年からは院生と学部生の二回に分けて話をします。
毎年、学生さんは変わるのですが、私の方は過去の話だけではなく、
その後の話も交えるのでつい「続」「続々」「おまけの・・・」になっています。
私の話にはもちろん、答えなどありません。
土の再生の話から今では現実社会の厳しさにも及びます。
『世の中に良い技術』だけではビジネスとして成り立たないことや、
リサイクルや競争入札制度の明と暗など。
私が見聞きした内容で、学生のみなさんが初めて耳にするような話を
現場からの視点で話します。
当初微生物などの働きで「土は生きている」ということが終わりの部分でしたが
最近は「生きていくのは矛盾だらけ」、それでも「ぼくらはみんな生きている」
というところに落ち着いています。
「いずれ教師として教壇に立つのだから、少しでも、物事を多面的に捉えて欲しい」
というR子先生のご希望にも沿うように、私もつい力が入ります。
午後の眠くなる時間、70枚以上のスライドを含む、パワーポイントのために
暑いのに暗幕まで閉めて話をさせてもらいますが、
熱心に聴いて下さる学生さんに毎年元気をもらって帰ります。
後でご丁寧に感想文まで送って下さいます。
作業に追われる時期、他のスタッフに、負担をかけて送りだしてもらっていますが、
私には一年に一度の自分の棚卸しと浄化の時間です。

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