金魚絵師No.158


2025年9月19日

Sです。

以前から興味のあった深堀隆介さんの個展を、あべのハルカス美術館に見に行ってきました。ご存知の方も多くおられると思いますが、私はテレビで紹介されているのを見てからずっと気になっていただけに、実際に作品を目の当たりにした衝撃は驚きと感動のまさに『アンビリーバブル』でした(+_+)
深堀氏の代表的な作品として、酒の枡に金魚があたかも泳いでいるように見える「金魚酒」があります。


最初に作品が誕生したきっかけも紹介されていました。~深堀氏が部屋で飼っていた金魚の不思議な魅力に気づき、それから金魚をモチーフにした作品が作りだされたようです~。個展会場にも多くの作品が展示されていましたが、中にはユニークなものとして、日常生活で使われるタンスやちゃぶ台やたらいなど、そこかしこに昔(昭和時代)に見かけた懐かしい日用品をキャンバスに描かれた金魚が泳いでいるのは、見てて思わずほっこりしてしまいます!(^^)!


キャンバスは日常的なのに、何故そこに金魚が泳ぐの?という非日常的なアンバランスが印象的で、尚且つ金魚があまりにリアルに描かれていて、そこから飛び出してきそうなぐらいに活き活きしていました。
深堀氏の「金魚を描くとき、金魚の声に耳をすませ、匂いをとらえると、脳内にイメージが宿る」とのコメントもありますが、そのような状態で描けた金魚には命を吹き込むことができるそうです。作品は絵画というより造形物のような立体的でリアリティーあふれるものばかりでした。どのように作られるかも気になって作品を見ていくと、作る工程も紹介されており、その技法も非常に特殊なものであることがわかりました。深堀氏があみだした独自の技法で「積層絵画」と命名されていました。具体にはアクリル絵の具とエポキシ樹脂を何層にも重ねていくようですが、一層目に“ひれ”、二層目“胴体”、三層目“うろこ”、四層目“尾ひれ”といった具合のようです。
文章にすればなるほどと大変失礼ながら簡単に理解しがちですが、実際一つの作品完成までに2カ月から1年を要するとのこと、その間の労力と忍耐力は想像を絶するものと推察されます。数々の名画や著名な絵画展も見ることもありましたが、それらとは全く異なる感動をさせていただきました。
個人的に思うのは、平安時代に活躍した運慶・快慶の仏像彫刻が1000年以上の時を経た現代でも見る人を感銘させているように、深堀氏の作品も未来へ語り継がれる作品として伝わるだろうなあと納得しながら会場を後にしました(^_^)v


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