オフの小豆島


2016年8月23日

一泊二日で小豆島に行ってきました。
学生時代に、合気道部の合宿で訪れて以来、何十年ぶりかの再訪でした。
今回どうしても見たかったのが、国の特別天然記念物である、樹齢1500年と言われる、
宝生院のシンパク(ビャクシン)の木です。

シンパク
ビャクシンはイブキの仲間です。普段私たちの仕事の上では、カイズカイブキの垣根の
剪定作業は定番です。イブキと言えば浮かぶイメージは、郡植された樹木の垣根です。
このビャクシンの木についている葉の形や、強く切ると『先祖がえり』と呼ばれる、
チクチクとした異形の葉も。落ち葉も。みな普段扱うイブキと似ていますが、
たった1本の巨木のイメージは普段見るイブキの仲間とまったく別物です。
見上げるばかりの木の威圧感はものすごく。年月を経た樹皮は猛々しいです。
多分、この木を基準に寿命や大きさを例えるとすれば、私たちは『セミ』のごとく
かもしれません。

シンパクの全景です。これが1本の木です。

シンパクの全景です。これが1本の木です。

kui

小豆島は、その名前のつく、庭石の産地でもあります。泉州では造園の石としてよく見かけます。
古くは、大阪城の築城の際の石垣の産出先としてもとても有名です。子供の頃学校の遠足で、
一部屋分の大きな石垣の石を見上げてそれがどこからどうやって運び出されたのか、ただただ
同級生と、驚嘆して見上げていた思い出があります。
重機の無い時代に、さぞかし、危険で大変な重労働でつらかっただろうなと、思うのは、
大人になってからも同様でした。今回、大阪城の石垣作りの資料館があったので拝見しました。
累々と展示されている、石工と呼ばれる方たちの道具類の多さに圧倒されました。

dougu

石工道具の一部です。もっと大きなものもたくさんあります。

火薬を入れて割る、切る、削る、加工する道具類の中には現代も受け継がれる技術もありそうです。

私が一番心惹かれたのは石を運ぶ作業の様子が描かれた、当時の絵とその説明でした。
そこには、『・・・巨石を運ぶ作業は重労働だと思われているが、当時は、それは一つのお祭りの
ようなものでした・・・』とあり、絵の中で、石の上には、身軽そうな棟梁のような人が乗り、
みながたくさんの綱をひっぱる様子は、堺に住む私には、すぐに(だんじり?)を連想させました。
巨大なものを、たくさんの人が、危険を冒して、チームワークで動かす。いかにそれを上手に
動かすのかは、舵取りと阿吽の呼吸次第。最後に、決められた位置にぴたりと納めたときの
達成感を全員で共有する・・・それは、奴隷が、鞭打たれながら石をひっぱる作業とは本質の
異なるものです。職人の誇りというのか、ものづくりにかける一人ひとりの思いの集約というのか。
資料を通して、日本の伝統技術の、すばらしさを垣間見たような気がしました。
今度大阪城の石垣の前に立ったら、当時のお祭りのようなにぎやかな人の歓声が心に
聞こえるかもしれません。

途中、ナビに何度目的地を入れても『ルート探索できません』と言われ、パニックになりました。
結論から言うと、日陰に置いてしばらくすると、正常に作動しましたが・・
人間だけではなく、機械でさえ『熱中症』ではなく『熱暴走』する今年の夏は、本当に異常です。

楔を打って石を割る様子です。

楔を打って石を割る様子です


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