壁面緑化の潅水工事


2010年3月21日

S部長のレポートから…
多くの人が暮らす都市の気温が上昇する、「ヒートアイランド現象」は
最近の地球温暖化とも相まって、益々厳しくなる傾向があります。
このヒートアイランド現象の緩和に、都市の緑化が果たす役割は
大きいと言われています。中でも、限られた空間を活かす、
屋上や壁面緑化が注目されています。今回は行政からの
補助金対象にもなった壁面緑化の潅水工事のレポートです。
場所は「姫路市飾磨区」。
ここは、江戸時代には姫路藩の海の玄関として栄えました。
明治時代に「飾磨県」となり、その後兵庫県として合併しました。
昭和に入ってからは整備された港湾を中心にした工業地帯として
発展を遂げた街です。
現場はコンビニエンスストア、レンタルビデオ及び酒の
ディスカウントショップ、本屋、レストランが集合した
共通駐車場に位置します。その中に高さ5mの大型倉庫があるのです。
その壁面3方向(長さにすると60m)の、パネル状の芝生への
潅水工事です。
作業は5mの足場を伝って行われます。面積にすると、
長い方の面で200?ほどです。地上で200?の潅水工事というのは
慣れた作業ですが。壁面となると、状況が異なります。
1セット縦1m×横0.5mのパネル状の芝生が4段に並んでいる各段の上側に
給水用のポリパイプを通していきます。

地を這う作業の代わりに、
高い位置で水平移動です。パイプを通した後、今度は段を構成している
パネル(合計250枚)ごとに、通っているポリパイプに3カ所、
パンチで穴を開け、その穴にドリッパー(1時間に2ℓの水が沁み出す部品 
計250枚×3個=750個)を芝生に差し込むようにして取り付けていきます。

何といっても、潅水設備がこの壁面に植栽された芝生の維持の決め手です。
水が行き渡らなければその部分は枯れて、緑が台無しになります。
それだけに慎重に確実に差し込んでいきます。
最後に給水用のポリパイプが正面から見えないように、
インシュロックで固定していき、通水試験を行って全作業終了です。
平面と異なり、壁面緑化は文字通り、緑の壁がそそり立ち、
とても目立つものです。今回の場合も、各店が集まるこのゾーンの
シンボルとしてオーナーが決めたとのこと。壁面緑化自体が
まだ珍しい存在だけに、潅水工事に興味を持って、
駐車場に車を止めた人がわざわざ、作業を見に来ることも多々ありました。
そのうちに芝生も青々としだすと、この一帯の名所?になるかもしれません。
もちろん、視覚ばかりではなく、本命のヒートアイランドの抑制効果も楽しみです。


イメージ

緑化の分野でも、まだまだ、目新しい風景ですが、
行政の補助金制度も利用できることから最近は施工事例も増えつつあるようです。
これまで、緑とは全く縁の無いような空間さえも、
潅水設備さえ整えば、新しい緑化空間が広がります。
高揚した気持ちになったのは、まんざら高い場所に登ったからだけではないようです。


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