京都迎賓館 No.119


2022年8月17日

Sです。

とある休日に、京都迎賓館一般公開中のガイドツアーに参加しました。
平成17年に海外のVIPをもてなす場として作られた、東京赤坂の迎賓館とともに、日本に2つしかない施設。
京都を代表する11の伝統技術(大工、建具、左官、表具、錺、截金、漆、畳、作庭、石造工芸、竹垣)と最新の建築技術とが融合した奇跡の産物と言われています!
以前から見たくてたまらなかったので、喜び勇んで迎賓館のある京都御苑に向かいました(^_^)v
まず正面玄関です。扉には樹齢700年の福井県産の欅(けやき)の一枚板を使用されており、入り口から圧倒されましたー(*_*)


いよいよ中に入ります!エントランスから庭園を囲むように長い渡り廊下が続いています。京都迎賓館を建設するにあたり、大切にした理念というのが、「庭屋一如」という考えだそうです。つまり家屋と庭に一体感を持たせ、庭の景観が家屋にも融合することを目指したもので、庭園を取り巻く回廊もその表れとのことです。
更に、各部屋と廊下、廊下と庭の間に430枚もの明障子がありますが、障子は採光、遮風、断熱という機能面はもちろん四季の移ろいを感じながら暮らす日本人にとってたいせつな家具のひとつであると表現されています。
また太陽の光が和紙を通って、柔らかい陰翳 (いんえい) を室内の床に映し出す「和の世界」も演出しています!
特に、障子を使うことで一面壁による抑圧感が軽減され日本家屋の開放感が生み出されているわけです。

改めて、日本の伝統である和紙や障子の素晴らしさを感じずにはいられませんでした。これら和紙を用いた明障子の足元に、美濃紙を使用し鉄や釘を一切使わない伝統的技法でつくられた行灯が置かれています。どこか優しさを感じるデザインは「折り紙」をイメージしています。

まず最初に案内された部屋は、聚楽の間(待合スペース)です。西陣織の生地を用いた椅子。さらにその中央には人間国宝の早川尚古斎氏による竹花器が置かれています。

「聚楽」の間<竹花器>

次に案内されたのは、夕映の間(大会議室)です。部屋の両側には、写真のように、壁全体を使った大きな絵が飾られているのですが、これは絵ではなく巨大なタペストリー。2つのタペストリーは、京都の代表的な山、愛宕山と比叡山をそれぞれモチーフにしています。製作は、美術織物で有名な龍村美術織物で、題名が「愛宕夕照」、「比叡月映」となっており、それぞれから1文字ずつをとって、「夕映」の間といいます。

「夕映」の間<比叡月映>

続いて見たのは藤の間(晩餐会)で、京都迎賓館の中でも最も大きな部屋です。真正面の壁に大きく描かれた見事な花のタペストリー。その大きさは、幅16.6メートル、高さは3.1メートル!1つの大きな絵の中にいくつもの草花が描かれています。こちらのタペストリーの題名は「麗花」と言い、藤の花をモチーフとしており、タペ全部で39種類もの花が描かれており、その製作には祇園祭の祭礼幕なども手掛けている川島織物(旧社名)が400色もの絹糸を染めてつくったとのこと。
「藤」は、花言葉が「歓迎」で、まさに海外からの賓客をもてなすにはぴったりの名前なわけです。

「藤」の間

最後に訪れたのは桐の間(大広間)です。天井には、12メートルのスギから作られた一枚板が使用されているのが注目です。その下に置かれている12メートルの漆の一枚仕上げ座卓があります。その表面に壁に描かれた山水画が反射されて写っています。また壁側から見た場合、目の前に広がる美しい庭園がこの座卓の上に鏡のように映し出されます
まさに、最初に紹介した「庭屋一如」がここに現れています。

実は個人的にもっとも見たかったのがこの部屋にあり、中でも最も楽しみにしていたのがこの黒い座卓でした\(^o^)/。12メートルの漆の一枚仕上げの漆黒の塗りの光沢は
息をのむ見事さでした。

「桐」の間

庭園の池を渡る「廊橋」も庭をじっくり見れますし、また橋の天井の四隅にトンボや蝶の透かし彫りなどがあり、粋な遊び心も見ていて楽しめます(^^♪

廊橋

どこもかしこも日本文化の優美さを味わえ、日本人であることの誇りももてる貴重な空間でした!この日も暑い一日でしたが、迎賓館の中は心身ともに涼しげな時間が
流れていたように感じました。


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