この時期に思い出すこと


2009年12月23日

昨日は冬至でした。今日から日が長くなっていきます。
寒さはまだまだでも、ほんのちょっと気持ちが軽くなります。
20年前、私は仕事も辞めて子育てに専念していました。
住んでいた古い団地のテラスハウスの周りは車も入らず、
就学前の息子たちはいつも一日中外で遊んでいました。
夕暮れ時、どこにいるのかわからなくても、ドアを開けて、
名前を呼びながら「ごはん!」と叫ぶと、どこからか走って戻ってきました。
ちょうど今頃の季節、いつもの私の大声の呼びかけに
すぐに反応して戻ってきたのは長男でした。
ところが、3歳の次男が戻ってきません。
外に出て、何度呼んでも、反応がありません。
少しの間に周囲はすっかり暗くなってしまいました。
1時間以上経ってから、苛立ちは不安へと変わりました。
近所の方々も一緒に探して下さり、ついに派出所へ向かうことになりました。
若いおまわりさんは、手帳にメモをしながら私の話を聞きました。
「3歳ですか・・」
「服装は?遺留品なども発見の手がかりになりますので詳しく」
実は、次男は長男のお下がりばかりではなく、長男の友人たちからも
たっぷりお下がりをもらっていたので、『衣装持ち』でした。
それが災いして、何を着せたのか印象が無く、そうでなくても、
『遺留品』という言葉で、すっかり頭の中は真っ白になってしまいました。
しどろもどろで、(たぶん)の服装を述べました。
続いて、「ええと。お子さんは女の子でしたね」
当時、幼い女の子が被害者になる痛ましい事件が発生していました。
「いいえ。男の子です」と言うと
「可愛いですか?」と聞かれ、とっさに返答に詰まりました。
こんな状況で、客観的になっている自分にも少々うろたえながら、
「親の欲目かもしれませんが可愛いです」と答えました。少しの質問の後、
「ハイ。分かりました」と、無線機ですぐにパトカーに連絡して下さいました。
不安が広がるというのはあんな気持ちでしょうか。長い時間でした。
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次男は、思わぬところから「出て」来ました。
ほんの数棟先のお宅の二階で、テレビゲームに明け暮れていたのです。
そのお宅には、幼稚園に通っている年上の子どもたちが集まっていました。
1階ではそのお母さん方が、話に夢中になっておられました。
生まれて初めて触ったゲームにはまり込んだ次男と、それを指南する子どもたち。
1階も2階も盛り上がる中、屋外で叫ぶ私の声など、聞こえる訳も無く、
一人「よそもの」が混じっていても全く気づかれなかったのです。夜の8時前、
みなが引き上げる頃、次男の存在に驚いたその方から連絡を頂きました。
どんな叱り方をしたのか忘れてしまいました。
日が短いこの時期、いつも思い出す、子育ての「ある日」でした。

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