ノブドウ(№603)

 秋も深くなると他の植物を覆うようにツルを伸ばし、直径1cm程度の白、赤、青とカラフルな果実をつけたツル植物が目立つようになります。果実は食用ブドウのように房にならず、大きさも直径1~1.5cmとまちまち、なんといってもその色の変化の多いことに目を奪われます。ノブドウとと呼ばれますが、野生のブドウ?食べられる?と考えてしまいますが、ノブドウはブドウ科ノブドウ属で食用のブドウ属とはかなり遠い親戚となり食用には適しません。
 この果実はほとんどすべてがノブドウミタマバエに寄生されているゴール(チュウエイ)である、と記した解説もありますが、割ってみるとそうでもない。寄生されると果実は大きくなる、青や赤に着色しているのは寄生昆虫に寄生されているなどの報告もありますが、必ずしもそうでもないとの観察もなされています。ブドウトリバ(チョウ目トガリバ科)が寄生するようですがこれもゴール(ちゅうえい)を作ることはなさそうです。果実は有毒だとの説明もありますがデーターを探してみましたがこれも見当たりません。外見上いろいろと面白そうな現象があるにもかかわらず、人間生活と直接利害関係がない植物として見向きもされない対象なのでしょうか。
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▲ノブドウ(3裂した葉)

▲ノブドウ(大きさの異る果実)

▲ノブドウ(青と赤の果実)

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クヌギシギゾウムシ(№602)

 夏の終わりに大きなドングリを見つけ持ち帰ったところ、秋~冬になって中から白い蛆虫が出てきた経験はありませんか。イガイガ帽子で比較的丸いクヌギのどんぐりから出てくるのはゾウムシ科シギゾウムシ属クヌギゾウムシの幼虫が多いです。
 8~9月、まだクヌギのドングリが緑色のころ、長い鼻(口吻)でドングリに穴をあけ、卵を産み付けます。卵からかえった幼虫はドングリの中身を食べて成長しますが、産卵された穴はドングリの成長に従ってふさがってしまい見えなくなります。秋になると、幼虫はドングリから脱出し、土の中で冬を越して蛹になり成虫が出てきます。成虫は黒褐色で体表には淡黄色の微毛を多数つけています。体長6~10mm程度ですが口吻が長く、口吻の中ほどにある触角も、ドングリに穴をあけるときの邪魔にならないよう、折れ曲がって口吻の溝の中に納まるようになっています。
 よく似た種類にシイシギゾウムシがいますが、食草とするドングリの種類、前翅後方の黒色横帯、触角(中間第2節)の長さなどで区別します。
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▲クヌギシギゾウムシ成虫
▲クヌギシギゾウムシ成虫

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スズムシバナ(№601)

 スズムシの鳴く頃(8~10月)、山地のやや木陰に、草丈30~60cmで角ばった茎の先に直径2~3cmの淡紫色の唇形花を見つけることがあります。1日花でスズムシバナ(キツネノマゴ科イセハナビ属)とよばれる多年草です。
 近畿以西の各地で見られ、数年前にも山道脇で大きな群落を作っている場面に遭遇したことがあります。しかし最近、各地の産地で見ることができなくなっており、鹿害と言われています。京都では絶滅危惧種Aに指定されています。淡紫色が多い中で、白花も見ることがあります。特別な生息環境が必要というわけではないようで、各地の植物園で雑草のように生い茂っているのを見たことがあります。
 もともとスズムシソウと呼ばれていたようですが、ラン科の植物に同名のものがあり、こちらはスズムシバナと呼ばれるようになったそうです。
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▲スズムシバナ
▲紫の花
▲白い花

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