カタバミ(№513)

 カタバミはおなじみの雑草で、茎から長い葉柄を出し、その先にハート形の小葉を3枚ずつ出します。日中は葉を広げていますが夜間には葉を閉じる睡眠運動をします。またシュウ酸、クエン酸、酒石酸などを含むため非常に酸性が強く、古代女性が鏡を磨くのに使用したそうです。シュウ酸を英名で0xalic acidと呼びますがこれはカタバミの属名0xalis(オキザリス)に由来しています。
 カタバミは匍匐茎から発芽、発根して増殖しますし、よく結実し、熟した果実は少しの刺激で中の種子を広範囲に弾き飛ばすなど増殖力旺盛な雑草です。
 カタバミの学名はOxalis corniculataでその品種としてカタバミ、アカカタバミ、ウスアカカタバミ、タチカタバミがあります。1965年以降北米原産で別種のオッタチカタバミが外来種として国内で繁茂しています。オッタチカタバミの学名はOxalis dilleniiで別種とされています。
 カタバミ、アカカタバミ、ウスアカカタバミの草姿は地面を這うように生育し、葉の色で区別されていますが、タチカタバミとオッタチカタバミは茎が垂直に伸び、非常によく似ていますが次の3点で区別されます。オッタチカタバミは1.全体に白毛が多い、2.果柄は斜めに下がることが多い、3.托葉は不鮮明である、4.伸び方は間延びしたような草姿となる。これらを頭に入れて総合的に観察するのですが、紛らわしい場合も多いです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲カタバミ
▲アカカタバミ
▲ウスアカカタバミ
▲タチカタバミ
▲オッタチカタバミ
▲左タチカタバミ、右オッタチカタバミの果実
▲左タチカタバミの托葉と毛、右オッタチカタバミの托葉と毛
▲果実からはじけ出たカタバミの種子

homeへ

オサムシ(№512)

 オサムシはコウチュウ目オサムシ科の甲虫で、日本では約40種が知られており、オサムシの仲間(オサムシ、マイマイカブリなど)とゴミムシの仲間(ミイデラゴミムシなど)に大別されています。主として夜行性ですが山道で昼間見かけることもあります。肉食性ですが、果実などを食べることもある雑食性です。成虫は昆虫の中では長寿命で数年生存し、一生の間に数十卵の比較的大きな卵を産みます。また、幼虫期間の脱皮回数は少なく2,3回の脱皮で成虫になります。そのため羽化後の後食で徐々に成熟していきます。
 オサムシの仲間はカタビロオサムシ類を除き後翅が退化していて飛ぶことができません。そのため、地上歩行生活をしており、地域ごとの種分化が激しい仲間で、その分類はかなり困難で多くの昆虫マニアのターゲットになっています。また手で触ると、メタアクリル酸やエタアクリル酸を腹部末端から発射し手などに付くとヒリヒリ痛むことがあります。
 漫画家手塚治虫は昆虫愛好家で、そのペンネームに治虫(オサムシ)を使っていました。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲オサムシ(和歌山県)
▲オサムシ(和歌山県)
▲ヒグラシを食べるオサムシ(兵庫県)

homeへ

キイシモツケ(№511)

 和歌山県紀の川市に龍門山という標高756.3mの山があります。この山はいくつかの重金属を含む蛇紋岩からなる山で、植物の生育に悪影響を及ぼす金属も含まれていることが知られています。中でも、ニッケルは植物の生育を阻害することが知られていますが、そのニッケルを植物体内に取り込み蓄積する植物の一つにキイシモツケがあります。
 キイシモツケはバラ科シモツケ属の落葉低木で樹高1~1.5mになります。キイシモツケは和歌山県の3か所(龍門山、黒沢山、生石峰)のみに生息する貴重種です。シモツケ属にはユキヤナギ、コデマリ、イワガサ、イブキシモツケ、イワシモツケ、キイシモツケ、トサシモツケ、マルバシモツケなどが知られますが、キイシモツケ、トサシモツケ、マルバシモツケはイワシモツケの変種とされています。これらイワシモツケの仲間は葉の形と生息地域で区別され、イワシモツケの葉は狭長楕円形、生息地域は東北地方、キイシモツケは長楕円形で和歌山、トサシモツケは倒披針形で四国、マルバシモツケは円形で東北とされています。
 キイシモツケの花は、5~6月頃、コデマリなどと同様に、当年枝の先端に直径7~10mmの白色小花を多数つけた散房花序(直径3cm程度)を形成します。また、ニッケルを植物体内に蓄積することが知られていますが、このことが葉を食害するホシミスジなどの害虫から身を守ることになっているのかもしれないとの説もあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲キイシモツケ
▲トサシモツケ

homeへ


ページトップへ