ハダニ(№231)

 今年(2013年)の夏は格段に暑く、南大阪では、降水量も極端に少なく経過しました。花木の害虫の発生を見ていると、毛虫類が少なく、ダニ、グンバイムシがやたらと多い年のように見受けられました。
 植物の葉にカスリ状の白斑が出るのはグンバイムシ、スリップス、ハダニなど
によることが多いのですが、今年は特にハダニとグンバイムシが多かったようです。ハダニはあらゆる植物に寄生し被害を発生させると考えても過言ではありません。
 普段我々が目にする植物寄生性ダニは、数種類いますが、中でも、体が赤いダニは、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニなどです。ダニは昆虫ではなくクモなどに近い生き物です。
 我々が管理している花壇のマーガレットが元気がなく弱っているように見えました。葉には絣状(カスリ状)の白斑が見られます。葉の裏には赤い小さな斑点が動いているように見えます。ルーペで観察すると、多数のハダニが見られました。カンザワハダニかニセナミハダニか定かではありませんが成虫、幼虫、卵が多数確認されました。早速殺ダニ剤の散布で植物が元気を取り戻したのは言うまでもありません。
(*写真をクリックすると拡大されます)

hadani1
hadani3
▲ハダニの被害
▲ハダニ

イラガ(№229)

 樹木の枝の分かれ目などに長さ1.5cmぐらいの楕円形の壺のようなものが見られることがあります。これがイラがの繭(まゆ)であることは本シリーズの「№23イラガ」で紹介しました。今回は、その幼虫です。
 本シリーズ「№84ヒロヘリアオイラガ」で紹介したように、最近はイラガの世界にもよそ者が幅を利かすようになり、最近の庭園樹で見られるイラがはほとんどが外来種のヒロヘリアオイラガです。
 たまたま剪定の依頼を受けた庭木で見つけました。きれいな雀の小便担桶(しょうべんたご)を作るのはこのイラがです。
 イラがの仲間にはほかに数種類いますが、越冬中のウスムラサキイラガについては「№208ウスムラサキイラガ」で紹介していますのでご覧ください。
(*写真をクリックすると拡大されます)
iragayoutyuu
◀イラガ幼虫

ホタルブクロ(№230)

 夏の山肌、削り取った崖っぷちなどによく見られる山野草です。この花には、紫色と白いものが見られます。紫色のものは関東に多く、白いものは関西に多いと言われます。また、非常に良く似た種類で、ヤマホタルブクロ(ホタルブクロの変種で萼片の間が盛り上がる)と呼ばれるものもあります。
 さて、この花、開花している花を覗き込むとどの花を見ても雄しべは既に枯れています。開花した時、既に雄しべが枯れている。では、花粉はどうして散布されるのでしょうか。
 その謎は蕾の花弁を取り除き、分解して初めてわかりました。ホタルブクロは蕾のうちに雄しべが熟し花粉を出します(画像2)
。その花粉は、まだ未熟で受粉できない雌しべの花柱にくっつき(画像3)開花します。その時雄しべは既に枯れています(画像4)。花粉をたくさん付けた花柱は、訪ねてくるハナバチ等の昆虫に花粉を託します。花粉がなくなった頃、雌しべが熟し受粉体制となります(画像5)。このような仕組みで自家受粉を避けているのです。
 たかがホタルブクロ、されどホタルブクロですね。
(*写真をクリックすると拡大されます)

hotarubukuro1
hotarubukuro2-1
▲ホタルブクロの花
▲蕾の状態で熟した雄しべ
hotarubukuro3-1
hotarubukuro4-1
▲未熟な雌しべの花柱に花粉が付く
▲雄しべは枯れ、花粉は花柱に付いている
hotarubukuro5-1
▲花粉がなくなり、雌しべが熟す

ページトップへ