センニンソウ(№559)

 多くの花が終わった8~9月の林縁や草地にかたまって咲く白い花が目立つようになります。遠目には区別できませんがセンニンソウかボタンヅルです。どちらもキンポウゲ科センニンソウ属のつる性半低木です。
 遠くからは区別がむつかしいですが近づいてよく見るといくつかの違いが見られます。センニンソウは常緑性で葉縁は全縁(鋸歯が見られない)、ボタンヅルは落葉性で葉縁には不整鋸歯が見られる。また花はセンニンソウは純白で花糸はガク片(花弁はなく4枚の大きな花弁状に見えるのがガク片)より短く、ボタンヅルの花は淡黄色、花糸はガク片とほぼ同じ長さである点などで区別ができます。いずれも結実すると花柱(雌しべの柄の部分)が白色の毛でおおわれます。センニンソウではこの毛を仙人の鬚に例えてセンニンソウと呼ばれ、ボタンヅルではその葉がボタンの葉に似るツル植物の意味でボタンヅルと呼ぶそうです。
 いずれも有毒で牧場では嫌われ者となっていますが、中国では漢方薬として利用するそうです。属名 Clematis(クレマチス) から想像できるように園芸種クレマチスの原種で、センニンソウは園芸種クレマチスの台木にも使われます。センニンソウは常緑であることから庭木として利用されることもありますが、切断面から出る白汁は有毒ですので、手入れの際触れないように注意することが必要です。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲センニンソウ(常緑つる性半低木、葉縁は全縁)
▲センニンソウ花(白色、花糸はガク片より短い)
▲ボタンヅル(落葉つる性半低木、葉縁は不正鋸歯)
▲ボタンヅル花(淡黄白色、花糸はガク片と同長)
▲センニンソウ果実
▲ボタンヅル果実

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