ヒメウラナミジャノメ(№542)

 チョウの仲間にジャノメチョウと呼ばれる一群がいます。チョウ目タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科に分類され、翅の地色は地味な薄茶色で、丸く目立つ蛇の目模様を持っているのが特徴の仲間です。中でも最も人目に触れやすいのはヒメウラナミジャノメでしょう。
 ヒメウラナミジャノメは名前から想像できるように前翅長18~24mmで小型のジャノメチョウです。翅の裏には波型の模様が見られます。北海道、本州、四国、九州に分布し、都心部以外であればどこででもみられます。幼虫の食草はイネ科のチジミザサ、ススキ、スズメノカタビラやカヤツリグサ科の雑草です。草地に多いのですが草原性のチョウの一般的な特徴として、産卵は食草以外の枯葉などにも産むようです。幼虫は非常に不活発で、日中は食草近くの枯葉の下や株際に潜み、成虫がよく目につく割に幼虫が見つけられることは少ないです。
 ジャノメチョウの蛇の目はチョウ類の一番の天敵である鳥による食害から逃れるため、蛇の目に似せていると言われますが、ヒメウラナミジャノメの模様から蛇を想像するのはむつかしいと思いますし、現に翅を食いちぎられた成虫をよく見かけます。
 ヒメウラナミジャノメによく似たジャノメチョウにウラナミジャノメと呼ばれる仲間がいます。この2種は非常によく似ていますが後翅の裏の蛇の目模様がヒメウラナミジャノメでは5個(~以上)であるのに対しウラナミジャノメでは3個であることから区別できますし、ウラナミジャノメの発生場所は比較的限定されています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヒメウラナミジャノメ(翅表)
▲ヒメウラナミジャノメ(翅表)
▲ヒメウラナミジャノメ(翅の裏に波模様)

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