カリガネソウ(№594)

 夏も終わりに近づくと、秋の花が目立つようになります。秋の花には紫系統の花が多いのですが、その中の一つにシソ科カリガネソウ属のカリガネソウがあります。
 「カリガネ」は渡り鳥の雁(ガン)の意味でその特異な花の形から命名されたようです。花は唇形花で上の花弁は2枚に、下は3枚に分かれ下の中央の花弁は大きく、蜜標をつけています。また、雌しべ、雄しべは上方に突き出し、下へ向かって曲がっています。これを雁の首に例えたのでしょう。ハナバチ類が蜜標をめがけてやってきて、下の大きな花弁に止まると背中に雄しべや雌しべが当たるような構造になっています。
 沖縄を除いた日本全国の山地に自生し、日当たりが良くてあまり乾燥しないような場所で見られます。草丈80~100cm程度で、茎の断面は四角です。葉は対生していますが、触れると強い臭気を持っています。野生動物から身を守るためでしょうか。
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▲カリガネソウ
▲カリガネソウの花(蜜標とその上にかぶさる雌しべと雄しべ)
▲カリガネソウの花

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フタモンウバタマコメツキ(№593)

 コメツキムシは、裏返しておくとパチンという大きな音とともに、飛び跳ねて元に戻ることで子供たちに人気の昆虫の一つです。この中でも特に大型のコメツキムシとしてフタモンウバタマコメツキがいます。
 体長21~36mmの大型コメツキムシで6~8月、樹液に集まったり夜間灯火に集まるようです。全体黒色ですが灰白色から黄褐色の短毛があり、いかにも枯れ木の風合いを見せています。上翅中央部の左右に大きな黒紋があり、前胸背面中央は尾根状に隆起しています。幼虫は肉食らしく広葉樹の樹皮下で他の昆虫などを捕食するそうです。京都府のレッドデータでは要注目種になっているようですが、泉南ではまだかなりみられるようです。南西諸島では上翅末端が直線状(本種では山形)のオオフタモンウバタマコメツキがいるそうです。
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▲フタモンウバタマコメツキ(上翅末端は山形)
▲フタモンウバタマコメツキ(前胸背面中央は隆起)
▲フタモンウバタマコメツキ

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ウチワゴケ(№592)

 渓流沿いに山道を歩くと、苔むした倒木や岩に出会うことがあります。よく見ると写真のような直径1~2cmの団扇の形をした苔のような植物が全面を覆っている場面に出会うことがあります。これはウチワゴケと呼ばれるシダの仲間です。日本全国で見られるコケシノブ科アオホラゴケ属の普通種のシダです。
 横に這ったひも状の根茎から、1㎝程度の1本の茎が伸びその先に団扇型の単葉をつけています。葉縁は裂け、この先に胞子をつけるラッパ状の胞子葉をつけます。倒木や岩一面に広がり、まるで苔のように見えます。全高が1㎝足らずでほとんどハイカーの目に留まりませんが、よく見るとなかなかきれいで、苔テラリウムなどとして鑑賞用には結構重宝されるようです。湿度さえ保ってやれば栽培も簡単なようです。
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▲ウチワゴケ(葉身直径は1~2cm)
▲ウチワゴケ

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