ヒルザキツキミソウ(№588)

 ツキミソウの仲間ですが、夜ではなく昼に美しい花を咲かせる植物にヒルザキツキミソウがあります。フトモモ目アカバナ科マツヨイグサ属の植物です。最近あちらこちらで見かけるようになりましたが、大正末期に北米から観賞用に持ち込まれたものが逸出し広がった外来種です。
 花は直径6~7cm、薄いピンク色で5~7月に開花し、他のツキミソウが夜に開くのとは異なり、昼間開花するためヒルザキツキミソウと呼ばれます。花弁は4枚、雄しべ8本、先端が4裂した雌しべが1本あり、これらの中心部のくぼみに蜜があるのでしょう。直根が伸び石垣や階段の隙間などにも根付くことができますが移植はむつかしく、もっぱら種子または地下茎で繁殖します。地上部は30~40cmで、耐暑性、耐乾性にも優れ、強光下でも育つことができます。
 モモイロツキミソウ、エノテラとの呼び名で園芸店の店頭で見ることもあります。
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▲雑草に混ざって咲くヒルザキツキミソウ
▲ヒルザキツキミソウの花

▲ヒルザキツキミソウの花(花弁4、雄しべ8、先端4分裂した雌しべ1)

▲石段の隙間に広がるヒルザキツキミソウ

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アシマダラブユ(№587)

 学校も夏休みに入ると、都会を外れ、キャンプ、ハイキング、川釣りなど渓流近くに出かける機会が多くなりました。しかし、場所によってはブユの大群に襲われ非常に不快な思いをすることがあります。ブユはハエ(双翅)目ブユ科の昆虫でブトとも呼ばれ、ハエ、カの仲間です。成虫の背面は丸くなり、全体に黒~灰黒色をしています。後翅は退化し平均棍と呼ばれる棒状になっています。
 成虫は体長2~4mm、成虫寿命は約1か月で清流に産卵し、幼虫は水中で3~4週間生活し、水中で蛹化します。年に数回発生するようですが春~夏の朝夕が特に多い
ようです。
 日本にはブユの仲間は60種ほどがいるそうですが、吸血により問題になるのはアシマダラブユ、キアシオオブユ、ニッポンヤマブユなど数種類です。吸血するブユは
メスで、産卵に必要な栄養を吸血によって補うため動物から吸血します。ブユはカのように針を刺して吸血するのではなく、動物の皮膚を傷つけ、染み出した血液を舐めとります。ブユに吸血されると数時間後~翌日以降にかけて腫れとかゆみが続き、人によってはカより重症化するようです。吸血するブユは清流の近くで朝夕、黒や赤の色に引き寄せられると言われています。また、ブユの羽音は聞こえないため厄介な衛生害虫と言えるでしょう。清流に生息するため、都会ではほとんど見られません。
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▲アシマダラブユ(捕虫網で採集)
▲吸血のため皮膚を舐める成虫
▲吸血のため皮膚を舐める成虫
▲吸血後の症状

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タイサンボク(№586)

 大きな艶のある葉(長さ13~20cm、幅6~10cm、裏面には褐色の短毛を密生させます)を付け、高さ10~20mにもなる高木が、5~7月、直径20cm以上の大きな白い花を上向きに付けているのを見ることがあります。
 この木はモクレン科モクレン属のタイサンボクと言い、北米南東部原産の外来種です。ハクレンボク、ダイサンボクなどと呼ばれることもあります。マグノリアと呼ばれることもありますが、これはモクレン属の総称でモクレン、コブシ、オガタマノキ、ホオノキ、オオヤマレンゲなどをまとめて指すときに使います。高木で、しかも上向きに開花するため、地上部からは花が目立たないようですが、強い香りを発散させるため香りで気付くこともあります。花は花被片(がく片+花弁)9枚、雌性先熟(雌しべが先に熟し、1~2日後におしべが開き花粉を出す)で、強い香りは甲虫類を呼び集めるのに有効なようで、比較的原始的な花のようです。秋には直径12~14mmの赤い種子が多数、白い糸にぶら下がります。
 タイサンボクは他の植物が生えにくくなる物質を出すと言われ(アレロパシー)樹下には他の植物が生えにくいと言われています。剪定の影響は比較的少ないのですが、移植がむつかしい事や大木になるため庭園樹としては広い庭での利用に限られます。
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▲開花期のタイサンボク
▲タイサンボクの蕾
▲タイサンボクの花
▲タイサンボクの花(蕊柱の上半分は雌しべ、下は雄しべ)

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