アミガサタケ(№579)

 お花見(サクラ)のシーズンは過ぎましたが、この時期(3~4月)にサクラやイチョウの木の周りをよく見ると、アミガサタケ科アミガサタケ属のアミガサタケを見つけることができます。
 高さ7~15cm、淡黄白色~黄褐色のキノコでカサの表面に多数のハチの巣状のくぼみが見られます。このくぼみの中に胞子が作られるので、マツタケやシイタケの傘の裏にあるひだと同じような役目をしているようです。下方がやや太くなった白い柄があります。傘や柄の中は中空で家の近くや公園などでもみられる食用キノコです。
 世界中で食用として珍重されているようですがこの仲間には多数の類似種が存在し、全ての仲間が食用かどうかははっきりしないようです。中でもシャガマアミガサタケは猛毒で知られています。一般的にアミガサタケは少量の有毒成分を含むようですが加熱することで毒成分が除去されるそうで食用には必ず加熱する必要があるそうです。
 欧州では乾燥品がスープ、グラタン、シチューなどに使われモリーユと呼ばれているようです。中国、デンマークでは人工培養に成功し、USAミネソタ州では州のキノコに指定され「採取コンテスト」なども催されるそうですが日本であまり注目されないのはなぜでしょうか。日本ではキノコは秋のものとの考えがあるからでしょうか。
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▲アミガサタケ
▲アミガサタケ

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コアオハナムグリ(№578)

 5月になれば柑橘類の花が咲く季節となります。柑橘類の花は、目立つ白い花弁と香りで昆虫類を集め受粉をさせていますが、よく集まる昆虫にコアオハナムグリと呼ばれる10~14mm程度の小型のハナムグリがいます。翅は銅緑色に白点があり腹部は黒褐色をしています。
 日本全国に分布し、3~11月にいろいろな花の花粉や蜜を食べています。コアオハナムグリは前翅を少し上げ、隙間から後翅を広げて飛びますがあまりうまく飛べません。そのため、一度たどり着いた花では歩行しながら花粉や蜜を捜し歩くようで花粉の媒介昆虫としては非常に有用な種類と考えられています。しかし、その脚には棘があり、花に潜り込む際に果実(子房)の表面に傷をつけることが多く、果実栽培では商品価値を落とす害虫とみなされています。
 幼虫は朽木や腐葉土などを食べて育つ白色、円筒状の蛆虫で、卵から成虫になるのに1~2年かかるようです。よく似た仲間にアオハナムグリやハナムグリがいますが、いずれも大型で、ハナムグリは毛が多いことで区別できます。
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▲コアオハナムグリ
▲コアオハナムグリ
▲コアオハナムグリ
▲アオハナムグリ

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ゲンゲ(№577)

 かつて、早春の水田はミツバチの飛び交うゲンゲ(レンゲとも言います)の花畑になっていました。これは、ゲンゲの根に共生する根粒菌が空中の窒素を固定するため、ゲンゲを水田で栽培し、田植え前にすき込み窒素肥料として利用していたためです。しかし、水稲の栽培時期が早くなったことや化学肥料が普及したことなどから水田でのゲンゲ栽培はほとんど見られなくなってしまいました。
 ゲンゲはマメ科ゲンゲ属の越年草(二年草)で、中国原産の緑肥植物です。草丈10~25cm、匍匐茎を伸ばして横に広がります。葉は羽状複葉で4~5月に紅紫色の蝶形花を花茎の先端に7~10個輪生します。花後黒い鞘に収まった豆果をつけます。
 緑肥だけではなく、ミツバチの蜜源として重要な役割を果たしましたし、新芽は食用にも利用されました。利尿、解熱の民間薬にも使われたそうです。また、休耕田の雑草対策や家畜の飼料としても利用されましたが農業事情の変化とともに殆ど栽培されなくなってしまいました。
 この花は蝶形花で、旗弁(一番大きくて垂直に立ち目立つ花弁、基部には蜜標がある)、翼弁+舟弁(水平方向に前方へ伸びており、昆虫が止まると開き、中から雌しべ、雄しべが現れる)から成り立っており、ミツバチ程度の大きさの昆虫に適応した形になっています。
 受粉を終わった花は破裂型(雌しべ、雄しべが出たままになっている)となるようで、ミツバチは破裂型の花を避けるのでしょうか。
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▲ゲンゲ畑
▲ゲンゲの花(雄しべ、雌しべは見えない)
▲ゲンゲの破裂型花(雄しべ、雌しべが見える)
▲ゲンゲの花から吸蜜するセイヨウミツバチ
▲ゲンゲの根(丸い根粒が見える)

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