ママコナ(№567)

 北海道から九州の山地林縁や草原に見られる半寄生植物にママコナと呼ばれる1年草があります。茎は直立、分枝し20~60cm、葉は2~8㎝の長卵形で対生します。
 炭酸同化作用をし自立もできると思いますが、他の植物の根から養分を吸収する半寄生植物だそうです。
 この植物は花にも特徴があります。長さ1,5~1,8cmの淡紅色唇形花で枝先に穂状花序として咲きます。開花期は6~8月と言われますが11月にも見られました。この花の下唇には2条の隆起した白斑が見られ、これを米粒に見たててママコナ(飯子菜)と呼ばれます。さらにこの花の苞葉はとげが目立ち大きいため、とげとげの葉のように見えます。種子にはエライオソームがあり、アリが種子散布をするようです。
 花冠下部が白く黄斑のあるものはシコクママコナと呼ばれます。
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▲ママコナ
▲ママコナ
▲シコクママコナ
▲シコクママコナ

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フトヘナタリ(№566)

 陽射しが暖かさを感じさせる冬の日、海へ続く用水路のコンクリート壁にたくさんの巻貝を見つけました。これは汽水性(海水と淡水がまじりあった状態の水)の巻貝フトヘナタリです。
 キバウミニナ科の巻貝で、ウミニナ類と呼ばれる仲間の1種です。松島湾以南のヨシ原や干潟に生息し、生息地域ではかなり多数が見られますが、
ヨシ原や干潟の減少とともに生息域も少なくなり、各地で絶滅危惧や準絶滅危惧種に指定されています。
 成貝は殻高40mm、殻径20mm 程度の細長い円錐形の巻貝で殻頂は欠けることが多く、殻の表面には縦横の隆起線があって粗く、白~灰~黒褐色と色の変異はまちまちです。殻口は小さく外へ反っており、体は黒褐色をしています。
 長期間水中にいるのを嫌い、潮間帯の満潮線付近に群れることが多く、泥などと一緒にエサを取るようです。
 九州の一部では塩ゆでにして食べるようですが、異形吸虫の第1中間寄主としても知られています。
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▲フトヘナタリ成貝
▲フトヘナタリ成貝
▲フトヘナタリ成貝

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クサアジサイ(№565)

 アジサイは梅雨を代表する花の一つですが、10月末に近くの山に入るとアジサイの花が見られました。これはアジサイ科クサアジサイ属のクサアジサイで多年草の草本です。
 日本の固有種で、開花はアジサイの花が終わる7月頃から10月で関東地方以南のやや湿った林床に見られます。葉は互生で、長楕円形、葉縁には鋸歯が見られます。
 アジサイのほとんどが木本であるにもかかわらず、草本で夏以降に開花する変わり者です。花序もアジサイのように丸くなりませんが両性花と装飾花をつける点では共通しています。木質の地下茎から20~50cmの茎を直立させ先端に散房状の白~淡紅色の花をつけます。装飾花は数個で、花弁状の3枚のがく片からなり上向きに咲きますが、両性花の受粉が終われば下向きになります。両性花の蕾は下向きですが、開花、結実の際は上向きとなります。
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▲クサアジサイ(蕾は下向き)
▲クサアジサイ
▲クサアジサイ(開花後の装飾花は下向き)

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