ドウダンツツジ(№546)

 3~4月、白いつぼ型で直径7~8mmの花を下向きに吊り下げた低木が見られます。長さ2~5cmで菱形の葉をもち、高さ2~3mになる日本原産の落葉性低木で、ドウダンツツジと呼ばれます。ツツジ科ドウダンツツジ属の花木ですが、産地で自生するものは葉が大きく、日陰では花数は少なく目立ちません。しかし、岩山、特に蛇紋岩地帯では他の植物が育ちにくい中でドウダンツツジが広がり、秋には見事な紅葉を楽しませてくれるところもあります。
 この野生種の中から、葉が小さく、花を多くつけ、秋の紅葉が特に美しい株を選抜したものが園芸用として流通しています。刈込に強く、枝が密に広がるため生垣にも使われます。秋に落葉しても、枝が密集するためある程度の目隠しにもなります。枝の出方が、かつて宮中で使われていた結び燈台(3本の木を交差させ、上部に燭台を乗せたランプ)に似るところからトウダイツツジと呼ばれたものがドウダンツツジになったそうです。英名でDoudannーtsutsujiと呼ばれることもあります。
 野外には同属別種のベニドウダンと呼ばれる赤花種があります。花は淡紅色~濃紅色で、花穂状になって吊り下がります。こちらも、葉が小さく、花の多い株が園芸用として選別されています。
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▲自生のドウダンツツジ
▲ドウダンツツジの花
▲ドウダンツツジの紅葉
▲ベニドウダン

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ベニシジミ(№545)

 早春から人目に触れやすいチョウの一つに、小型ではあるが色の派手さが目立ち、都市部でもよく目につくベニシジミがいます特に前翅の橙赤色と黒班のコントラストが良く目立ちます。高温期(夏型)には全体が黒っぽくなりますが、春(春型)には写真のように目立つ色をしています。
 幼虫はタデ科のスイバ、ギシギシ、ヒメスイバなどを餌としていますので、これらの生える空き地があれば都市部でもよく見られます。日中に活動し早春の花であるタンポポ、ヘビイチゴ、ハルジオンなどに吸密に来るのがよく見られます。
 ところで、名前のよく似たシジミチョウが他にいます。それはアカシジミです。ブナ科のコナラ、ミズナラ、ナラガシワ、カシワ、クヌギ、アベマキ、アラカシ、ウラジロガシなど都市部近郊でもよく見られる樹木を食草としており、環境適応力が強いのか都心部でもよく見かけることがあります。成虫は15:00ごろから日没にかけてよく活動し栗の花によく集まります。5月の風ゼフィルスと呼ばれる仲間です。ところで、ベニとアカはどう違うのでしょうか。
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▲ベニシジミ(春型)
▲ベニシジミ(春型)
▲ベニシジミ(裏面)
▲アカシジミ

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エビネ(№544)

 多年草であるラン科エビネ属の代表がエビネです。ジエビネ、ヤブエビネと呼ばれることもあります。
エビネの呼び名の由来は地下部のバルブ(塊茎)がつながり、エビのしっぽのように見えることからエビネと呼ばれるようになりました。
 日本全国に分布し、樹林下の半日蔭地に自生しています。4~5月に新葉の展開と同時に30~40㎝の花茎が伸び横向きの花を10~20花つけます。花は他のラン科の花と同じく外花被(がく由来)3枚、内花被3枚(側花弁2枚+唇弁1枚)からなり、唇弁の上端には蕊柱(ズイチュウ:めしべとおしべが合体した器官)があり、先端に葯帽(粘着体の付いた葯の塊で、内部に花粉塊がある)があります。
唇弁の上に着地した昆虫が、蜜を求めて花の奥へ潜り込むとその背中に花粉塊が付着し、そのまま他の花に運ばれる仕組みです。唇弁は白または紫紅色で、がく片、側花弁は褐、赤褐、黄褐、緑褐、緑など変化に富みます。また、同属のエビネ類と交配しやすく、いろいろな交配種が見られ、多くの愛好家に好まれています。
 しかし、エビネはウィルスに弱く、同一個体の株分けでの栽培を長期間続けることはむつかしく数年で絶えてしまうことが多いです。そのため、無菌播種で栽培され市場に出ることがありますが、コストの関係で選別交配種に限られ、エビネは市場価値が低いため、野生の採集株が市場に出ることが多くなります。そのため、エビネは野外からどんどん姿を消しているのが現状です。
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▲自生のエビネ
▲エビネの根部(バルブが連なっている)
▲褐色弁のエビネ
▲緑色弁のエビネ

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