シロシタヨトウ(№534)

 霜が下りる12月の寒い朝、キャベツ畑でキャベツの葉を食べるイモムシを見付けました。シロシタヨトウの幼虫です。チョウ目ヤガ科のガの幼虫です。
 シロシタヨトウの成虫は、前翅長18~20mm、赤紫褐色で不明瞭な斑紋があり、後翅は灰白色の中型のガで後翅の色からシロシタヨトウと呼ばれています。
 幼虫は45mm程度に成長し気門に沿った黄白色の太い線が見られます。通常、成虫は年2~3回発生し5~6月と9月に見られます。写真の幼虫は間もなく土の中で蛹になり越冬するものと思われます。この幼虫は、きわめて多食性でその食草はキク科、シソ科、セリ科、アオイ科、マメ科、バラ科、ナデシコ科、ザクロ科、アブラナ科、ミソハギ科、スベリヒユ科、アヤメ科、アカザ科、タデ科、ネギ科などの他クワ科、ニレ科等の樹木をも食害することがあります。葉の裏に数十~数百の卵をかためて生み、若齢幼虫期は集団で食害しますが、3令以降は分散し、主として昼間は地下に潜み、夜間に食害するようになります。産卵数は多いのですが、天敵が多いのでしょうか、大発生することは少ないようです。
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▲キャベツを食害するシロシタヨトウ幼虫
▲キャベツを食害するシロシタヨトウ幼虫

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カラスウリ(№533)

 冬になると、長さ5~7㎝の赤いウリが雑木に絡んでぶら下がっているのを見ることがあります。カラスウリと呼ばれるウリ科カラスウリ属のツル性多年生で雌雄異株の植物です。中国、日本原産種で本州、四国、九州に自生します。
 7~8月の日没後、直径7~10㎝の白い花を開きます。5弁の花弁の先は白いレース状に裂け、ガクは癒合し6cmもある筒状となっており、その構造は夜間活動し口吻の長いスズメガに対応しています。花後、縞模様の付いた青い果実がなり秋には縞も無くなり全体が赤く色づきます。多くの果実はそのまま春先まで残り種子を散布します。名前はカラスウリですが、カラスも食べないようです。
 種子は打ち出の小槌の形をしており縁起が良いとされ財布に入れておくと金運が付くといわれていますが・・・。またこの形はおみくじや結び文の結び方にも似るところからタマズサ(玉章)の別名でも呼ばれます。
 根は塊根ででんぷんが天花粉として利用されました。芋から毎年発芽するだけではなく、ツルが地上に接すると不定根を出し栄養繁殖もします。
 若い葉は茹でて和え物に、青い果実はゴーヤ同様に、赤く熟した果実はシロップ漬けにして食べられるようです。また果実、種子、塊根は漢方薬として利用されます。
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▲竹藪に広がった果実
▲赤く熟した果実
▲果実の中の種子

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ヤマナメクジ(№532)

 山間部の倒木や石の下で時々見かける大きなナメクジ。ヤマナメクジと呼ばれる仲間です。
 日本原産のナメクジで、本州、四国、九州で見られます。都市部で見かけることはありませんが、雑木林などでよく見かけます。夜行性と言われますが、昼間でも、朽木の表面を這っていたりします。一見して大型(10~16cm)で灰褐色~黒褐色の体に頭から尾にかけて3本の黒い筋が入っています。また背面から側面にかけ黒~灰色の隆起が縞模様に入っています。
 コケやキノコを食べるようで、シイタケ栽培では、時として被害が見られるようです。
 地域によって、体色や触角の長さが異なったりするようで、同一種かどうか詳細な検討が必要ともいわれています。
 島根県の一部では、本種を食用油につけ虫刺されの薬にするそうですが薬効は如何でしょうか。
 あまり可愛いとは思えないのですが、通信販売でペットとして出されているのには驚きました。
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▲ヤマナメクジ(兵庫)
▲ヤマナメクジ(高知)
▲ヤマナメクジ(長野)

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