タイワンタケクマバチ(№516)

 2006年、愛知県で見慣れない真っ黒な大型のハチが見つかりました。体長2㎝程度でメスは頭、胸、腹は黒く、翅は艶のある褐色、脚には黒い毛が密生しています。オスは胸に黄色い毛が、腰に白い毛が生え、顔が白く日本在来のキムネクマバチに少し似たところがあります。
 和名はタイワンタケクマバチと呼ばれハチ目ミツバチ科のハチで、在来のキムネクマバチとほぼ同じような大きさですが、翅の輝きや足の毛で区別できます。台湾、中国南部、インドなどに生息していますが、
枯れた竹に穴をあけて巣を作るため竹製品に紛れて侵入したものと考えられています。また、クマバチコナダニが寄生していることが知られ、このダニのDNA鑑定から中国から侵入したものと見られています。
 春先、直径2㎝程度の枯れた竹で、垂直に立っている竹(横に倒して積み上げている竹には営巣しない)に穴をあけ、中に花粉団子を詰め込んだ部屋を数室作り、それぞれに産卵します。下の写真はサンゴ樹の花から花粉を集めているメスです。在来種のキムネクマバチやミツバチも訪花していましたがお互いに大きなトラブルは観察されませんでした。
 性格は比較的おとなしく、営巣中の巣に指をかけたりしない限り刺されることは少ないようですが、竹ぼうきや支柱に巣を作られた竹は寿命が短くなるような被害が見られますので、今後の動向に注意が必要な外来昆虫の一つでしょう。
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▲サンゴ樹の花を訪ねるタイワンタケクマバチ
▲サンゴ樹の花を訪ねるタイワンタケクマバチ
▲サンゴ樹の花を訪ねるタイワンタケクマバチ
▲サンゴ樹の花を訪ねるタイワンタケクマバチ

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コウヤボウキ(№515)

 キク科の植物は殆どが草本に分類されますが中には木本に入れられるコウヤボウキがあります。キク科コウヤボウキ属の落葉低木です。樹高は50~100㎝で草本と区別がつきにくいのですが、草本の多年草では冬季間地上部はすべて枯れてしまいますが、木本の枝は枯れずに春になると芽吹くことから区別されるようです。厳密には形成層の有無あるいは木部組織が年々増殖するかしないかなどにより区別するようですが、草のようなフッキソウや幹が太らない竹も木本に入れられますのであまり神経質に考えないようにしましょう。
 関東以西の山地林縁などの日当たりの良いところに育ち、秋(9~10月)に当年枝の先端に頭花を1個付けます。頭花は長さ1.5cm程度の筒状花10~13個が集まったもので雄性先塾の花です。オシベは集約雄蕊で筒状になり、花粉が出終わった後中央からメシベが出てきます。冬季、タンポポ同様に毛(冠毛)をつけた果実が飛散します。
 初夏には、地際からたくさんの当年枝を出しますが、前年枝には細長い葉が束生し、当年枝には卵形の葉が互生します。
 コウヤボウキの名前は、高野山でこの枝を束ねたものを箒として利用したことから付けられたものです。また、正倉院の御物の一つである子日目利箒(ネノヒノメドキボウキ)はコウヤボウキの枝を使っているそうです。
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▲コオヤボウキの大株
▲コウヤボウキの花
▲コウヤボウキの葉(上の枝:当年枝、下の枝:前年枝)

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イワツバメ(№514)

 車が頻繁に通る国道の橋の下を、多数の小型のツバメが飛び交っています。河原に降り、橋桁を見上げると多数のツバメの巣が見られました。
 スズメ目ツバメ科のイワツバメの巣です。イワツバメはユーラシア大陸の温帯から亜寒帯に生息し、関西へは夏鳥として渡来し繁殖します。尾羽は比較的短く浅いⅤ字型で、嘴、体の上面は黒褐色、下面は汚白色で体長14㎝程度の小型のツバメです。腰が白毛に覆われるため飛翔中は腰が白く見えます。また、脚も白毛に覆われるため空飛ぶペンギンなどと呼ばれることもあります。飛びながらエサである昆虫を採り、吸水や水浴びも飛びながら済ませます。巣材の泥を取るときを除いて地上に降りることはなく、なかなかカメラに収まってくれません。
 もともと海岸や山地の岩場に集団で営巣し、泥と枯れ草でどんぶり型の巣を密集して作っていましたが、最近は街中のコンクリート構造物に営巣することが多くなりコンクリツバメと呼ばれたりします。
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▲橋の下を飛び回るイワツバメ
▲橋桁に作られたイワツバメの巣
▲橋桁に作られたイワツバメの巣
▲川面を飛ぶイワツバメ(水面に影が映っています)
▲川面を飛ぶイワツバメ(水面に影が映っています)

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