アオキ(№504)

 殺風景な冬の林道で、艶のある濃い緑の葉と赤い実をつけた低木(1~3m)を見つけました。
 アオキと呼ばれる低木で、その名が示すように年中緑の葉と緑色をした若い茎が目立ちます。3~5月に4枚の紅紫色花弁を持った花をつけますがこの花は小さく目立ちません。よく見ると、4個の葯(花粉袋)をつけた花と、中央に1個のメシベだけをつけた花が見られます。前者が雄花(雄株)、後者は雌花(雌株)で雌雄異株の植物です。雌株は12~3月には艶のある赤い果実をつけます。
 別名を青木葉とも言い、日本原産の植物で学名Aucuba japonica の aucubaは青木葉から付けられています。英語名もjapanese aucubaと呼ばれます。ヨーロッパでは非常に人気の高い植物ですが当初は雌株のみが移入されたため実がならなかったのですが、後に雄株も入れられ緑の葉と赤い果実が好まれるようになっています。
 耐陰性、耐寒性も強い常緑低木であるため、庭木としての利用価値の高い植物です。園芸種として斑入り品種がありますが、自生種と比べ果実が少ない、強い日光で葉やけを起こしやすいなどの弱点がありますが、植え付け場所を選ぶことで特徴をうまく生かすことができます。漢方では健胃薬や切傷、やけどなどに使われています。
 たまに冬になっても実が赤くならず、小さく、いびつになったりすることがありますが、これは多くの場合アオキミタマバエの被害でゴール(虫癭)となったものです。
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▲アオキ
▲アオキの若い茎
▲アオキの雄花
▲アオキの雌花
▲アオキの実
▲園芸種のアオキ
◀アオキミタマバエの被害を受けた実

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ジョウビタキ(№503)

 スズメ目ツグミ科の小鳥にジョウビタキがいます。体長13.5~15.5mm、体重13~20gでスズメよりやや小柄な鳥です。
 全体が黒褐色で、オスの頭は灰色、腹は橙色、メスは頭が褐色、腹は灰褐色でいずれも羽根の中央に目立った細長い白色斑紋を持つのが特徴です。この斑紋からモンツキドリとの別名を持っています。開けた林、人里、都市公園や民家の庭でも見ることができます。日本では冬に関東、関西を中心に見られます。人に対する警戒心は比較的薄いのですが、とまっている時、お辞儀をしたり、尾を振ったりとなかなか忙しい鳥です。冬鳥として日本に来ますが繁殖地はチベット、中国、沿海州周辺などです。この鳥は、縄張り意識が強くいつも1羽でいます。これは餌として木の実も食べますが、主として越冬中の小動物、昆虫を食べるため、少ない餌を確保するための縄張りが必要なためと考えられています。繁殖地との往来の際も1羽なのでしょうか。
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▲ジョウビタキ(オス)
▲ジョウビタキ(オス)

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ナワシログミ(№502)

 苗代の準備を始める頃、実が赤く熟し始めるグミがあります。グミ科グミ属のナワシログミ、別名トキワグミ、タワラグミ、ハルグミ、カングミ(盆栽)などと呼びます。
 日本では中部地方以西の海岸に多く自生する常緑低木です。10~11月頃小さく目立たない白い花をつけ、果実は苗代の頃に赤く熟します。果実の先端には、ガク筒上部が残り、食べられますがそれほどうまくない果実です。葉の裏、枝、果実表面などに鱗状毛があり、葉裏には白色鱗状毛が一面に生じ、ところどころに褐色の鱗状毛が混じります。葉腋や枝の先端は鋭いとげになることが多いです。この棘を生かして、生け垣などに使われていました。古くなると幹の樹皮に趣が出るため盆栽にも使われます。庭木に使われることは多くないですが、刈り込むと枝が密生し冬でも緑の葉を楽しめます。
 葉は斑入り、銀葉などの変異が多く園芸種として栽培されています。また、漢方では下痢止めなどに使われるようです。
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▲ナワシログミ
▲ナワシログミの果実
▲ナワシログミのトゲ
▲ナワシログミの鱗状毛
▲ナワシログミの鱗状毛(拡大)

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