イワヒバ(№459)

 水滴が滴るような岩場に生育し、直径10~15㎝、中央部から放射状に伸ばした枝に鱗片状の小葉を付けるシダ植物にイワヒバがあります。
 中心部から枝が放射状に伸び、それぞれの枝は数回分枝して15㎝程度まで伸びます。この枝に多数の小葉を付け中心部には根茎の塊が太い幹のように立ち上がり(仮幹、仮茎)、一見小型の松のように見えることからイワマツと呼ばれることもあります。乾燥すると、小葉、枝が内側に巻きますが、湿度が高くなると再び開くため復活草とも呼ばれます。冬季間は枝や葉を巻き冬眠をします。観賞価値が高いため、盆栽として楽しまれることが多く、自然下では険しい岩場にしか残っていない状況も見られます。また、観賞用として200種程度の園芸品種があると言われます。本州、九州の岩場に分布しています。酸性土壌を好み、胞子で増えますが枝からの発根も容易で園芸種は枝(葉)差しで簡単に増やすことができます。胞子葉は、枝の先端に四角柱状に形成されます。
 シダの仲間であるヒカゲノカズラ科とイワヒバ科の植物は葉が特異的に小さく、発生起源も他のシダとは異なるようで小葉類として分けられることもあります。イワヒバの枝は中心から放射状に広がりますが片側に偏って伸びるものがありこれはカタヒバと呼ばれます。
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▲イワヒバ(放射状に枝、葉を伸ばす)
▲イワヒバ(黒褐色の仮幹(茎)が見られる、高さ20㎝程度)
▲乾燥状態のイワヒバ(枝、葉を巻く)
▲枝の先端に四角柱の胞子葉が見られる

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モズ(№458)

 秋の澄んだ青空を背景に、葉を落とした枝の先で辺りを警戒するかのように止まっている小鳥がいます。スズメより少し大きい程度で、目の周囲を横切る黒い線と翅の小さな白点が目立つモズです。スズメ目モズ科モズ属の小鳥で全長20cm程度のかわいい鳥です。しかし、その嘴はワシやタカのように先がカギ型になっており小型の猛禽のようにも見えます。
 日本、中国東・南部、朝鮮半島、ロシア南東部に分布し、日本では留鳥として扱われています。秋になると、北から南へ、山から里へ移動し、開けた森林、林縁、河畔林、人家近くで縄張りをつくって冬を越します。2~8月が繁殖期になります。食性は、動物食で小型のものであれば昆虫類、甲殻類、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類など何でもエサにします。モズは漢字で「百舌鳥」と書きますが、多くの他の鳥の声を真似るように鳴くところから「百舌」と書かれるそうです。関西では「大阪府の鳥」と「堺市の鳥」に指定されています。
 この鳥は「モズのハヤニエ」として知られるように、エサの一部を木の枝や棘、有刺鉄線などに突き刺し保存?することで知られています。ハヤニエにされたエサは、獲物の少ない冬季に再び食べられますが、すべてが消費されるわけではないようで、夏季にも食べ残され古くなったハヤニエが見られることがあります。縄張りをつくりハヤニエを作りますが、何処に刺したかを忘れるのかもしれません。なぜハヤニエを作るのか、いろいろな説明がされていますが、データーを基に言われているのは、ハヤニエを食べたオス鳥の鳴き声はメスにアッピールしやすく、つがいになりやすいと言われています。そのほかにも2,3の説がありますがこれから少しずつ解明されるものと思います。
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▲モズ成鳥(オス)
▲モズ成鳥(オス、脚でバッタを押さえています)
▲ハヤニエ(バッタの仲間)
▲ハヤニエ(カマキリの仲間)
▲ハヤニエ(セミの幼虫)
▲ハヤニエ(甲虫?)
▲ハヤニエ(ホオジロ幼鳥?)

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クジャクシダ(№457)

 庭園、リース、生け花などを作る際、その空間を埋める脇役としてなくてはならない植物の一つにシダ類があります。また1年中緑を楽しませてくれる鉢物としてシダ類が利用されることもあります。鉢植えシダとして店先で見かけるものの中にアジアンタムという名札をつけて売られているシダがあります。これは関西では、近くの山に入るとよく目にすることができるクジャクシダまたはその仲間か園芸種です。
 クジャクシダは学名をAdiantum pedatumと言い、ホウライシダ科ホウライシダ属のシダでやはりアジアンタムの仲間です。国内では北海道、本州に多く見られ四国、九州では殆ど見られなくなります。夏緑シダ(屋外では冬期に地上部が枯死するシダ)で、茎は地下にあり、硬く、黒褐色で艶のある葉柄を地上部に伸ばし扇のように広げた枝に小葉をつける(羽状複葉)様子がクジャクが尾羽を広げたように見えることからクジャクシダと呼ばれます。葉柄の高さ15~50cm、葉を広げた幅は30㎝程度で横に広がった形となります。
 春先、新葉が展開しますが緑葉のものと、小葉先端が淡赤色に色付くものがあり栽培には後者が喜ばれるようです。また、園芸種として矮性(ヒメクジャクシダ)、斑入り、細葉などがあるようです。
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▲クジャクシダ
▲クジャクシダ

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