ヒメツルソバ(№426)

 冬季で花が少ない時期にも花を咲かせている地被植物にヒメツルソバがあります。ヒメツルソバといっても「何?それ。」と思う方が多いと思います。花のことをご存知の方にはポリゴナム、別名カンイタドリと言えば分かるかもしれません。いやいや、たぶん写真を見れば誰でもわかるのではないでしょうか。
 街中をちょっと歩けば道端のあちこちに雑草のように生えているヒメツルソバを見かけるでしょう。この植物は明治期にロックガーデン用に導入されたもので原産地はヒマラヤです。強健なタデ科、ツル植物で、暑さ、寒さに強く乾燥にも強いため花の栽培は無理と考えられるようなところでも元気に育っているのが見られます。
 花は、花柄の先端に小花が集合し直径1cmそこそこの金平糖状態で咲きます(頭花)。つる性で、花がソバの花に似るところからヒメツルソバと呼ばれます。開花期は、盛夏期を除いた5~10月が中心ですが霜が降りなければ、ほぼ1年中開花が見られます。ピンク色の金平糖状態で開花しますが、
開花後も花弁は長く残り、色は白くなります。そのためピンクと白の花が多数ついているように見えます。また、葉面には紫黒色のV字型模様があり、冬季には葉が紅葉して美しいものです。
 難点は元気がよすぎることで放置しておくと一面にヒメツルソバが広がってしまうことがあります。
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▲石垣の隙間に生えるヒメツルソバ
▲ヒメツルソバの紅葉
▲葉のV字模様
▲ヒメツルソバの花

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イチモンジカメノコハムシ(№425)

 里山を散策中、草の葉上に透明プラスチック製の鉄兜をかぶったおもちゃのような昆虫がいました。カメノコハムシの仲間です
 甲虫目ハムシ科カメノコハムシ亜科の甲虫で、体長8mm前後で全体が鉄兜のような特異な形をしたハムシです。更に面白いのは鉄兜状の周辺が透明であることです。頭は鉄兜の中にすっぽり隠れ、触角だけを出しています。体の下側は平らなため敵に襲われ手足を引っ込めると葉の上に鉄兜がある状態となります。ハムシ自身はこの透明な鉄兜を通して敵が行き過ぎたかどうかじっとうかがっているのでしょうか。この鉄兜状の姿が、陣笠に似るためジンガサハムシとも呼ばれます
 カメノコハムシ亜科のハムシは日本に約30種ほどいるとされていますが、成虫に劣らず幼虫も自分の糞や脱皮殻を背負いトゲトゲのある異様な物体に見えるものもあります。写真のカメノコハムシは鉄兜の周辺が透明で、後方2箇所で黒紋が縁に接し触角の先が黒いことなどからイチモンジカメノコハムシと思われます。これは成幼虫共にコムラサキ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキ等の葉を食害します。
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▲イチモンジカメノコハムシ成虫
▲イチモンジカメノコハムシ成虫

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ショウジョウバカマ(№424)

 早春の山路に入ると、半日陰地で湿っぽい傾斜地にショウジョウバカマが花をつけます。葉は根元からロゼット状に広がり、その中央から1本の花茎を10~20cm伸ばし、その先に淡紅色の花を数個かためてつけます。色は変化が多く濃紅色から紫まで、時には白色のものも見られます。花の後、花被片はそのまま残り、花茎も40~50cmまで成長するため初夏には緑色の花をつけたような状態になります。
 名前のいわれは花が赤いところから、空想上の動物であるショウジョウ(顔と髪の毛が赤い)を冠し、根生葉が重なってでる様子からハカマとされたそうです。
 春の花茎の横から新株の根生葉がでるため、夏以降に見ると花茎が横から伸びているように見えることがありますがそれは旧株の花茎が残っているためで新株ではやはり翌春に根生葉の中心から新花茎が伸びだします。類似種にノギランがありますが、ノギランでは新花茎は根生葉の間から出ます。
 秋には種子が出来ますが、非常に微小で貯蔵栄養が少ないのか発芽率もよくありません。それを補うためでしょうか、土壌と接している根生葉の中肋部(葉の先端部が多いようです)から不定芽を出し栄養繁殖もします。春以降は他の雑草等が多いため目立ちませんが、冬季に株の周囲を丁寧に調べると結構沢山見つかることがあります。
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▲越冬中のショウジョウバカマ(中央に花芽が見える)
▲2時の方向の葉先に注目!
▲画像2の葉先を拡大(不定芽が見える)
▲不定芽(葉の中肋から出る)

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