トゲヂシャ(№369)

 道路際や石垣の隙間などに、アキノノゲシに似たキク科の雑草が見られます。草丈1~2mで、アキノノゲシに似ていますが、大きな違いは葉が茎から出てすぐに90度捻じれ、垂直になることです。通常、植物は太陽の光をいっぱいに受けることが出来るように葉を水平に広げるものですが、この植物は葉を垂直にしています。従って、少し離れていてもそれとわかることが多い植物です。別名アレチヂシャとも言われます。
 ヨーロッパ原産で、6,70年も前に北海道へ侵入したことが知られています。1年草で草丈1~2mにもなります。畑地や雑草地の中で育つことは少なく、荒地、道路際、石垣の隙間などにぽつんと育つことが多く目立ちます。
 葉の中肋にはトゲが並んでいるためトゲヂシャと呼ばれます。葉縁には鋸歯がありますが、鋸歯のないものは変種でマルバトゲヂシャと呼ばれます。花は舌状花のみで構成されています。
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▲石垣に生えるトゲヂシャ
▲葉が垂直に開く

アミガサハゴロモ(№368)

 梅雨の時期、バラ科園芸種(ディアボロ)の木に小さな蛾のような虫がいました。
 これは蛾ではなく、カメムシ目(半翅目)ハゴロモ科の昆虫で、アミガサハゴロモの成虫です。不完全変態ですので蛹の時期はありませんが、7~9月に体長10~13mmで前翅を薄緑色の粉に覆われた成虫が現れます。このうす緑色の粉は活動中すぐに取れてなくなり、本来の黒褐色の翅になります。前翅前縁の中央よりやや後方に1対の白い紋が見られます。また、翅には細かい網目状の翅脈が見られます。立派な翅を持っていますが逃げるときは飛ばずに跳んで逃げます。そのため、一瞬にして視界から消えることが多いです。常緑照葉樹林(カシ林)やコナラ、クズなどの上でよく見られます。顔はいかにもセミらしく見えますね。
 幼虫は腹部末端から綿毛状のロウ物質を分泌し、腹部を上に反り返らせ綿毛の下に自分の体を隠すような行動が見られます。

【注】:本稿ではアミガサハゴロモと記載しましたが、写真撮影時(1977年)頃から、南大阪地域に外来種であるチュウゴクアミガサハゴロモが侵入繁殖していたとの情報を得たため、専門家に本稿写真を確認していただいたところチュウゴクアミガサハゴロモと同定されましたので種名を訂正します。

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▲セイヨウニンジンボクに止まった成虫
▲ディアボロ(バラ科)に止まった成虫
▲翅を広げた成虫標本

ハナイカダ(№367)

 初夏の頃、沢沿いの比較的湿っぽい場所で、高さ2m程度、葉の中央に2~3mmの淡緑色をした花を乗せた低木が見られることがあります。
 これはモチノキ目ミズキ科のハナイカダです。葉の中央に花をつけた様子が筏に似ていることからハナイカダと呼ばれます。雌雄異株で雌花は通常1~3個の花をつけ、雄花は数個をつけます。これらの花は葉腋から出た花の柄が葉の主脈と合着したために葉の中央に花が付いたようにみえるもので、そのため葉の基部から花までの主脈は太くなっています。夏には雌株の葉の中央に果実が付きますが熟すと甘く食べることが出来ます。また新芽は天ぷらにするとおいしいそうです。
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▲ハナイカダ雄花(葉の基部側中肋が太い)
▲ハナイカダ果実(葉の基部側中肋が太い)

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