オオキンケイギク(№366)

 5~7月にかけて、路傍、河川敷、線路沿い、海岸、草原などで高さ50から70cmの茎の先端に、直径4cm程度の黄色く大きな菊に似た花をつける植物が見られます。オオキンケイギクといい、以前には手をかけずに荒地の緑化が出来るワイルドフラワーの1つとして各地で利用された北米原産の植物です。
 これが野生化し(逸出といいます)大繁殖しあちこちで見られるようになりました。繁殖力が強く、在来のカワラナデシコやタコノアシ、ミクリ、カワラサイコなどが生息場所から追い出されたり、砂防堤に張られた侵食防止の芝地にオオキンケイギクが繁殖し、芝生が光線不足で枯れ、堤が水に洗われたりなどの被害が出始めたため平成18年2月に特定外来生物法に基づき特定外来生物に指定されました。
 特定外来生物に指定されると飼育、栽培、保管、運搬、販売、譲渡、輸入、野外に放つことが禁止され、違反すると懲役3年以下または300万円以下の罰金が科せられることになります。きれいだからといって、庭で栽培することは出来ない植物です。しかし、昨今あちらこちらで繁殖しており役所ではこれといった対策を講じていないため今後ますます繁殖に拍車がかかるものと懸念されています。
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▲法面一面に咲くオオキンケイギク
▲道路際のオオキンケイギク
▲オオキンケイギクの花

ユリクビナガハムシ(№365)

 タカサゴユリが伸び始めると、赤くきれいなユリクビナガハムシがいつの間にか食害を始めます。
 このハムシの成虫は体長7~10mmで、全体が赤褐色、足の関節は黒色のきれいな甲虫です。5~6月に成虫が現れユリの葉を食害します。葉の上に5~6個の卵が産まれ、やがて幼虫が出てきますがこの幼虫もユリの葉を食べます。食害しながら自分の糞を背負うようになるため、葉の上に虫糞がついているように見え、よく見ないと幼虫とはわかりません。成幼虫ともにユリの葉のみを食害するためユリの害虫ですが、その発生は局所的です。京都府では絶滅危惧種になっています。
 幼虫はやがて株際や土中に白い繭を作り、その中で蛹になります。その後、次年度までの生態については未知で、今後の研究が待たれます。
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▲ユリクビナガハムシによるタカサゴユリの被害
▲ユリクビナガハムシの卵
▲ユリクビナガハムシ成虫
▲糞を背負ったユリクビナガハムシ幼虫

ギンヨウアカシア(№364)

 まだ冬枯れが残る3月、茶褐色の木々に囲まれ鮮やかな黄色の花を付ける木があります。ギンヨウアカシアです。
 オーストラリア原産のマメ科植物です。根粒菌と共生し、空中のチッソを栄養に出来るため荒地でも成長が早く樹高10~15mになる高木です。根が浅いため剪定しながら樹形を整えないと強風で傾いたり倒れたりします。花はきれいですが、庭木としては移植の難しい木で背丈が高いこともあって庭園には不向きな木です。
 この花は、いくつかの花が集まりボール状になっています。花弁は目立たず黄色く見えるのは雄しべの花糸です。これは同じマメ科のネムノキとよく似た構造になっています。
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▲ギンヨウアカシア
▲ギンヨウアカシア
▲ギンヨウアカシアの花(黄色いボール状の雄しべと長く飛び出した雌しべ)

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