フユノハナワラビ(№351)

 フユノハナワラビというシダ植物があります。東北地方以南から九州までの日当たりの良い草地に、9~10月頃になると発生します。日当たりがよく、人に踏みつけられない草地というのは人が草刈管理している里山で、このシダも人の生活と切り離せない植物といえます。地際から、1~4分岐した1枚の栄養葉と、1~3分岐した1枚の胞子葉を出します。栄養葉と胞子葉は地際で一つにつながりますが、この部分は茎ではなく担葉体と呼ばれます。胞子葉には球状の胞子嚢(胞子の詰まった袋)が軸に直接付きますが、これが花のように見え、冬季に葉を開くことからフユノハナワラビと呼ばれます。
 秋から冬に葉を出すことから冬緑性シダとも言われます。これに対し冬は枯れ、春から夏に葉を開くのは夏緑性シダと呼ばれスギナやナツノハナワラビなどが該当します。
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◀フユノハナワラビ

オオゾウムシ(№350)

 びっくりするほど大きなゾウムシが住宅の灯火に来ていました。体長25mmもあります。手でつかもうとすると死んだ真似(偽死)をしますが、捕まえると脚の先端(跗節)と脛節の爪が手にひっかかり引き剥がすのが痛いほどの力でしがみついています。
 このゾウムシはオオゾウムシといい、日本在来のゾウムシの中では最大の種類でしたが、最近ヤシオオオサゾウムシというのが外来種として進入してきたため、日本最大の座を譲ることとなりました。オオゾウムシは北海道から九州まで、日本中に分布し、幼虫は伐採後の切り株や湿った材木を好んで食害するため林業害虫として知られています。モミ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ、スギ、ヒノキ、サワラ等の針葉樹やナラ、カシ、クヌギ、クリ、ニレ等の広葉樹も食害します。
 大きなゾウムシですがわりとどこにでもいる普通種のようです。
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◀オオゾウムシ

ケヤキ(№349)

 ケヤキはニレ科の高木でムクノキ、エノキなどの仲間です。街路樹などに使われると見事な景観を作り出します。春、新葉が展開するのと同時に開花しますが、花の付く枝と付かない枝では葉の大きさが違うのをご存知でしょうか。高木のため下から見るだけではよくわかりませんが、花をつける枝の葉は小型で節間も短く葉の塊のように見えることもあります。
 秋になり黄葉が始まると、花をつけた小枝(着果短枝)が最初に黄化します。やがてこの葉が褐色に変わる頃、残りの葉も黄葉し落葉が始まります。大きな葉は1枚ずつ葉の基部に離層が出来て落ちます。しかし、果実の付いた着果短枝の葉は1枚ずつ落ちないで、数枚が付いた短枝ごと落ちます。しかも強風が吹くまで落ちず、太い枝にしがみついています。これには訳があります。
 植物は種子を飛ばすためにいろいろな工夫をしています。原動力としては獣類、昆虫類、鳥類、自力(物理的)
、風力、水流等があり、果実はそれに適した形や工夫をしています。ケヤキの果実は果肉が殆ど無く獣類や鳥類は種子分散に殆ど役に立ちません。そこでケヤキは風力散布の道を選びました。そのため、種子をつけた着果短枝ではその枝に付いた葉を落とさずに、小枝の基部から落とすことにしたのです。果実と枯葉数枚を付けた小枝は強い風が吹くと数mから数10mも飛ばされ種子散布が行われることになります。このように、枝と枯葉を種子散布に使う例は殆ど無く珍しい方法といえます。
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▲ケヤキの黄葉(黄色と褐色)
▲着果短枝の落葉(上段)と葉1枚ずつの落葉(下段)
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▲着果短枝の葉の付け根に付いた果実

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