シロオビノメイガ(№345)

 秋にはケイトウの花がにぎわいます。ケイトウの苗を数トレー当社のナーセリーで管理していると、ケイトウの苗を中心に小さな蛾が飛び回り始めました。良く見ると、茶褐色の翅で中央にはっきりした白い帯が1本見えます。
 シロオビノメイガという蛾の成虫です。ツトガ科ノメイガ亜科の小蛾です。分類上はメイガ上科にメイガ科とツトガ科があり、ツトガ科の下にノメイガ亜科が存在し、名前がややこしいですがシロオビノメイガはノメイガ亜科に属します。従って「シロオビのメイガ」ではなく「シロオビ ノメイガ」となります。
 このガの成虫は開長20~25mmの小さなガです。黒褐色の翅の中央に白条を持つため一見してそれとわかります。幼虫はアカザ科(ホウレンソウ、テンサイ、アカザなど)や、ヒユ科(ヒユ、ケイトウなど)の植物の葉を綴って、その中で食害を続ける害虫です。比較的薬剤に弱いため成虫を見つけたら市販薬剤をまけば防除できます。
dsc_0514
◀シロオビノメイガ成虫

カエンタケ(№344)

 秋はキノコ採りの季節です。温度、湿度がキノコの生育に最適なのでしょう。食用になるキノコの代表はマツタケ、シイタケ、ナメタケ、トリュフ等があります。中にベニナギナタダケと呼ばれるものがありますがこれとよく似たキノコでカエンタケと呼ばれる猛毒のキノコがあります。
 カエンタケは非常に珍しいキノコですが猛毒を持っています。触れるだけでひどくかぶれる国内唯一のキノコです。誤って食べると3gが致死量といわれ、助かっても言語障害や運動障害が残るそうです。このキノコは子嚢菌(コウボ、アオカビ、トリュフ等の仲間)の一種で基部の太さは10~15mm、上部の太さ3~7mm、長さ2,3cm~10cm程度の指状~鶏冠状の赤いキノコです。ミズナラやコナラの立ち枯れ木、地中の腐朽木から生えるようです。
 日本では約200年前の「本草図譜」に大毒ありと記載されているため、昔からあるキノコのようですが非常にまれなキノコでしたのでこれまで問題になることは殆どありませんでした。しかし、最近カシノナガキクイムシによるナラ枯れが発生しミズナラやコナラの立ち枯れ木が目立つようになったためカエンタケもあちこちで見られるようになりました。
▲棒状のカエンタケ
▲げんこつ状のカエンタケ

コバネイナゴ(№343)

 収穫の秋です。あちこちで稲を刈るコンバインが動き回っています。カマで刈っていた昔と違いコンバインが走り出すと瞬く間に稲が刈られ、後には細かく切られた稲わらが撒かれていきます。稲刈り作業中の田の畦に立つと、イナゴが逃げ出す場面を見ることが出来ます。
イナゴには翅が体より長いハネナガイナゴと短いコバネイナゴが見られますが、いずれも戦後の食糧難の時代には蛋白源としてよく食べられました。今では、珍品として酒の肴に上がることもありますが脚や翅は藁をかんでいる様なものでこれらを除いたほうが食感はいいようです。ちなみにバッタは苦味が強くちょっといただけないそうです。
 ところでイナゴとバッタはどう違うのかとよく聞かれます。イナゴもバッタも分類上はバッタ目バッタ科の昆虫です。と言うことはイナゴはバッタの一部と言うことになりそうです。バッタの仲間はイネ科植物を食べますが、イナゴは主としてイネ科の稲を食べることでも区別できます。更にイナゴを手にとって腹側を見ると、左右の前脚の間に突起が見られますがバッタにはこの突起がありません。イナゴは食用になるが、バッタはならないというのも一つの区別法なのかもしれません。
dsc_0348
dsc_0435
▲コバネイナゴ成虫
▲コバネイナゴ(前脚間に突起あり)
dsc_0453
▲ショウリョウバッタ(前脚間に突起なし)