オジギソウ(№333)

 ホームセンターの花売り場で面白い鉢苗を見つけました。特段珍しいものでもありませんが、手を触れると葉や枝が下に枝垂れるオジギソウです。
 オジギソウはブラジル原産のマメ科多年草植物です。日本では冬の寒さに耐えられず枯れるため1年草として扱われますが、沖縄では冬を越すようです。6~8月にピンク色のボール状の花をつけますが、茎にとげがあります。
 葉や枝が枝垂れるのは、接触刺激だけでなく、振動、熱や一部のガス刺激でも枝垂れますし、陽の光がかげる場合も枝垂れます(これは特別に睡眠運動とも言われます)。
 枝垂れる構造の秘密は茎や葉の付け根にある葉枕(ようちん)(茎や枝の場合は柄枕)
と呼ばれる少し膨らんだ部分にあります。この部分の外側の細胞壁は柔らかく動きやすくなっています。刺激が伝わると葉枕内の下側の細胞に含まれる水が上に移動します。つまり下側の細胞内の膨圧(細胞壁を押す水の力)が小さくなり、上側の細胞の膨圧が強くなります。この変化で、下の細胞が萎凋するため枝葉が枝垂れることになります。この水の移動に耐えるため、上の細胞壁の厚さは下の細胞壁の3倍近くあるそうです。
 さて、この運動はどのようなメリットがあるのでしょうか。動物による食害を防ぐとか炭酸同化の調節をしているなどと言われますが確実な証拠は見つかっていないようです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
オジギソウ開-2
オジギソウ閉-2
▲昼間(開葉状態)のオジギソウ
▲夜間(閉葉状態)のオジギソウ
オジギソウ葉枕-2
▲オジギソウの葉枕

クロバネキノコバエの仲間(№.332) 

 雨上がりのカラー舗装したアスファルトの上を、スマートなナメクジ?が急ぎ足で横切るのに出くわしました。ところがこのナメクジ今までに見たことがない長さ、細さ、体中のまだら模様、所々に突起物。これ何?思わず地面に顔を近づけてびっくり。長さ1cm程度のウジムシ集団、おそらく100匹以上の集団でしょうがお互いに連なって、重なり合い、細長いナメクジ様の物体を形作り、あたかも1匹の細身ナメクジが移動しているような動きを見せているのです。まだら模様はウジムシのすけた体を通して見える消化器官と黒くつやのある頭部が模様に見え、突起物に見えたのは、所々で頭を持ち上げた1匹がそのように見えたのです。このウジムシ集団を率いるのはやはり先頭の1匹なのでしょうか。またどこへ、何を求めて移動しているのでしょうか。
 このウジムシの正体はクロバネキノコバエの仲間だと推定されました。このキノコバエの仲間は成虫の大きさ3~4mmと非常に小さく、梅雨時期に突然大発生し、発生の時間帯も午前5:00~10:00に集中します。このハエは人間に対し刺したり吸ったりすることもなく無害ですが、小さいため、扉や窓の隙間から室内に大量に侵入する不快害虫の範疇に入るものです。これまでに静岡、愛知、岐阜、京都、広島等で大発生し問題になっています。特に食品会社では、この昆虫が異物として混入することで商品を廃棄しなければならない事態や、給食センターに大量に進入したためセンターを一時閉鎖するなどの被害が出ています。
 キノコ栽培地ではキノコを食害する害虫として問題になっていますが、その生態や防除法については未知な点が多く謎の多い昆虫の一つです。
 

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▲細身のナメクジ?
▲ウジムシ集団でした。

ギンリョウソウ(№331)

 植物は炭酸ガスと水を材料に太陽エネルギーを使って炭水化物を合成します。しかし、植物の中にはズボラ者もいて、自分で合成するのをやめ、他人から必要な養分を横取りするものがいます。山道の落ち葉の下から、長さ数cm~10数cm程度の真っ白な茎が立ち上がっていることがあります。これはギンリョウソウといい、シャクジョウソウ科の多年生植物とされていましたが、新しい分類ではツツジ科の多年生植物に分類されています。腐生植物と言われますが枯葉の腐植などから養分を吸収することは出来ません。樹木と共生しているベニタケ属の菌類に寄生して有機物を得ています。つまり、樹木が作り出した養分を、菌を介して受け取っていることになります。
 真っ白な茎の先端に、やや下向きのこれも白い花を1個つけます。花の中には紺色がかった柱頭とその周辺に黄色味がかった葯が見られ、ハナバチなどが受粉させるようです。秋に蒴果(上部が蓋状に開く果実)の中に種子をつけます。白い茎に付いた鱗片状のものが葉で、炭酸同化をしませんのでこれも真っ白です。
 全身白一色に見えるためユウレイタケとも呼ばれます。

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▲落ち葉の下から顔を出したギンリョウソウ
▲ギンリョウソウの花

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