ネジキ(№327)

  2月末、山道を歩いていると鮮紅色の新梢をつけた中木を見つけました。非常にきれいな紅色で、樹幹には捻じれが見られます。
 ツツジ科の落葉中木で、本州、四国、九州の山地に自生します。尾根や斜面地でギャップ(高木が枯れて出来たような空間地)や酸性の強い地に多く見られます。ツツジ科のアセビ同様テルペノイドのグラヤノトキシンを含む有毒植物です。6~7月アセビ同様の白い釣鐘状の花をつけます。樹皮同様、材も捻じれており細工がしにくく、割りにくい等活用のしにくい材のようです。
 鮮紅色の新梢に付く冬芽の美しさから3大美芽(コクサギ、ザイフリボク、ネジキ)の一つに数えられます。
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ねじき4
ねじき2
▲ネジキの新芽
▲ネジキの赤い新梢
ねじき3
▲ネジキの捻じれた幹

ネギアブラムシ(№326)

 昨秋、プランターにネギを植えたところ、春の訪れとともにネギの茎が黒くなってきました。よく見るとネギに光沢のある0.5~1.0mm程度の楕円形の黒い虫が群生しているのがわかりました。これはネギアブラムシでネギ、タマネギ、ニラ、ラッキョウなどネギ類のみに寄生するアブラムシで春先に大発生します。有翅成虫は翅脈に黒い縁取りが見られるのが特徴です。大発生すると、吸汁による直接害でも倒伏、成長停止等がみられますが、それ以外にベト病にかかりやすくなったり、ネギ萎縮病ウィルスを媒介する等の被害もあるようです。
 ネギアブラムシの生態ははっきりせず、冬季、夏季については不明な点が多いとされています。増殖は、多くのアブラムシ同様、雌成虫が仔虫を生む単為生殖を繰り返し、爆発的に増えることが知られています。密度が過剰になると有翅虫があらわれ移動します。また、このアブラムシは日陰地によく発生することが知られています。ネギ栽培畑では、他の害虫防除をしておれば殆ど発生することはありませんが、ベランダなどでの栽培ではよく見られます。
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ねぎあぶらむし4
ねぎあぶらむし2
▲ネギに寄生したネギアブラムシ
▲ネギアブラムシの有翅型成虫

ゼニゴケ(№325)

 コケ類は蘚類、苔類、ツノゴケ類にわけられますが、ゼニゴケはコケ類のなかで苔類と呼ばれる一群です。苔類は一般にゼニゴケ、ジャゴケと呼ばれる葉状体(茎葉の区別が無いもの)と茎葉体(茎葉らしい区別が出来るもの)とに分けられ、日本には約800種といわれています。
 ゼニゴケは葉状体(配偶体)から雌器托(造卵器)、雄器托(造精器)と呼ばれる器官を作りそれぞれ卵子と精子を作ります。精子は水を得て泳ぎ出し、卵子を探して受精します。受精卵は胞子体を形成し先端に胞子嚢をつけ、減数分裂によって胞子を作りこの胞子が発芽してやがて葉状体(配偶体)となります。従って、胞子体のみが2倍体で、われわれが普段目にするゼニゴケは半数体の葉状体になります。 葉状体の表面(背面と言う)には杯状体と呼ばれる無性繁殖をする器官も存在します。この杯状体の中には無性芽(栄養繁殖体)ができ、無性的にも繁殖します。
 スギゴケなどの蘚類は日本庭園等では珍重されることもありますが、除草剤でも枯れない苔類は邪魔者扱いされることが多く庭の嫌われ者です。
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ゼニゴケ1-1

ぜにごけ2
▲地上に広がったゼニゴケ
▲ゼニゴケの雌器托と雄器托
ぜにごけ1
▲ゼニゴケの杯状体

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