イヌノフグリ(№.324)

 イヌノフグリは早春、比較的石の多い畑や、石垣、石灰質の土地に淡紅白色の小さな(直径2~3mm)花を咲かせる越年草です。しかし、最近はなかなか目にすることが出来なくなりました。同じころあちこちの畦道に咲く紫青色、直径8~10mmのかわいい花はヨーロッパ原産の帰化植物であるオオイヌノフグリ(№71)です。更に、イヌノフグリと同じ程度の大きさの花で、最近良く目にするのはこれもヨーロッパからの外来種でフラサバソウといい、葉や茎に短毛が多く、群生し、花の色が淡青紫色のためすぐに区別できます。フラサバソウはフランスの発見者のフランチェとサバティエの名前を取って命名されています。
 イヌノフグリは石が多い石灰岩地帯や、石垣に多いといわれていますが、この写真は街中の街路樹の下でホトケノザと混生していたものです。多数の街路樹がある中で、イヌノフグリが生育していたのは1箇所だけで、他とどこが違うのか不思議です。環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種Ⅱ(VU)に指定されています。減少の原因は、開発による生育適地の減少やオオイヌノフグリとの競争に負けたなどといわれますがいくらでも生える場所はありそうに見えるのですが。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

▲イヌノフグリ
▲イヌノフグリ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

▲フラサバソウ
▲フラサバソウ
オオイヌノフグリー2
ooinunohuguri
▲オオイヌノフグリ
▲オオイヌノフグリ

ヒバリ(№323)

 春の河原や畑でよく耳にするのはヒバリのさえずりでしょう。よく晴れた日、はるか上空で聞こえるこの声は春を代表する一つと言えるでしょう。
 ヒバリはスズメ目ヒバリ科の小鳥で、日本の在来種は留鳥で、1年中河原や畑地に住んでいます。しかしその大きさ(体長17cm、羽を広げた開長32cm)がスズメほどで小さく、繁殖期以外は上空高く飛ぶ派手なさえずりもなく、体も地味な茶色であるため足元にいても気付かないことが多い野鳥です。頭に冠羽があり、これを立てた様子はなかなか可愛いものです。年に一度だけ春には、雄が縄張り宣言のため、はるか上空まで上がり、ホバリングしながらピーチクパーチクとさえずります。このさえずりは「揚げヒバリ」ともいわれ、田園地帯における日本の風物詩にもなってきました。聞きなし(鳥の鳴き声を日本語で例えた言い方)として、ヒバリのさえずりは「日一分、日一分、利取る、利取る、月二朱、月二朱」と聞こえるそうです。金貸しヒバリが太陽に貸した金を取り立てる為、高く昇って太陽に向かって叫んでいるのだそうです。
 河原や畑の土の上に小さなくぼみを作り営巣します。一度に三~四卵を生み、10日ほどで孵化、その後二週間程度で巣立ちします。主として植物の種子を食べているようです。最近、畑や、麦畑、草原などが減少し、ヒバリもすみかを探すのが一苦労のようです。
(*写真をクリックすると拡大されます)
ひばり1
ひばり3
▲冠毛を立てたヒバリ
▲冠毛を立てたヒバリ
ひばり2
▲揚げヒバリ

ロゼット(№322)

 冬の河川敷を歩くと、枯れた草だけではなく地面にぴったり葉をくっつけた植物たちが、冬の寒風を避けながら春を待っているのがみられます。これらはロゼットと呼ばれています。
 ロゼットとは、冬季、多年草植物や越年生植物の茎が殆ど成長せず、葉が放射状に地中から出ているように見える状態のことで、あたかも根から葉が出ているように見えるためこれらの葉は根出葉(根生葉または根葉)といいます。冬季に限らず常時このような出方をしている植物もあり(モウセンゴケ、ヒシ、オオタニワタリ、オオバコなど)これらはロゼットと呼ばれることは少ないようです。冬期間のみロゼットになる植物としてはオオアレチノギク、ヨメナ、ハルノノゲシ、オオマツヨイグサ、タンポポ、オニタビラコ、ノゲシ、ハルジオン、ヒメジョオン等が挙げられます。
 ロゼット状態の場合、大きな植物の下などでは受光率が低くなりデメリットと考えられます。一方、常時ロゼット状の植物は水に浮くため(ヒシ)、動物等による機械的被害の回避(オオバコ)などそれなりの理由があるようですが、冬期間だけロゼット状になる植物にとっては次のようなメリットがあるようです。①茎を伸ばすためのエネルギーの節約。②地温の恩恵により植物体の温度を上げ、凍結の回避につながる。③他の動物などの食害から回避できるなど、それぞれ冬の寒さ対策としてロゼットになる道を選んだのでしょう。
 下の写真の植物名は一部不確実な面があるかもしれません。お気づきの点あればご連絡ください。
(*写真をクリックすると拡大されます)
rose-ギシギシ
rose-シロイヌナズナ
▲ロゼット状のギシギシ
▲ロゼット状のシロイロナズナ
rose-セイヨウタンポポ
rose-タンポポ?
▲ロゼット状のセイヨウタンポポ?
▲ロゼット状のタンポポ類?
rose-ヒメオドリコソウ
rose-ヨモギ
▲ロゼット状のヒメオドリコソウ
▲ロゼット状のヨモギ
roze-アメリカフウロ
▲ロゼット状のアメリカフウロ

ページトップへ