マメヅタ(№.321)

 湿度の高い山中の古木には樹幹を這い上り、直径1cm程度の円形緑葉が連なっているつる植物を見かけます。これは、マメヅタと呼ばれる、ウラボシ科のシダ植物の1種です。近縁種としては、ノキシノブが挙げられます。
 常緑で、美しい緑を年中提供してくれる野趣あふれる植物ですが、あまりにもどこでも見られるためか顧みられることの少ない植物です。古木や石付きにすることで観賞価値は十分あると思います。この円形の葉は栄養葉で、炭酸同化をし、でんぷん製造に役立つ葉であるとともに、肉厚で水分を多く蓄えることが出来ます。この葉を2つに折ると、プチッと音が出るため、かつては子供が良く遊んだものです。殆どが円形ですが、よく見ると、中にはハート型や変形したものが見られることがあります。変形した園芸品種に獅子葉と呼ばれるものがあります。
 マメヅタには円形の葉以外に長さ1~2cmで立ち上がったヘラ状の葉が所々に見られることがあります。これは胞子葉で、裏面中肋に沿った両側に褐色の胞子嚢が付き、中に胞子をつけます。シダ植物ですから、この胞子で増殖します。
 非常に良く似た形態のマメヅタランというラン科植物がありますが全く別種で、生息地も比較的局限されます。
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まめづた1
マメヅタ2
▲マメヅタ栄養葉
▲マメヅタ胞子葉
まめづた3
▲マメヅタ胞子嚢

ハクサイダニ(№.320)

 最近、時々話題になる害虫として、ハクサイダニがあげられます。従来ムギダニとして片付けられていましたが、1993年に、新種のハクサイダニとして認められるようになりました。
 体長0.7mmm程度で腹部は黒く脚は暗赤紫色のダニで、活発に動き回ります。低温期(11月~2月)に活動し、夏季には卵で休眠します。これまでのところ、雄は見つけられず、単為生殖(雌のみで増殖)するようです。コロニー(集団)は作らず単独行動の多いダニです。最近、被害例を耳にすることが多くなりました。加害植物はアブラナ科野菜、ホウレンソウ、ニンジン、パセリ、シュンギク、イチゴ、ムギ、ハコベ、ホトケノザなど非常に多種に及びます。特に、秋野菜での被害が多く、結球内部や芯部に寄生し、汁液を吸収するようです。幼苗では、被害が多いと枯死することもあります。局所的に発生することが多く、天敵も知られていません。また、登録農薬も殆ど無く厄介な害虫です。
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はくさいだに1
はくさいだに2
▲ハクサイダニ
▲ハクサイダニ

オキザリス(№.319)

 雑草のカタバミは厄介者として嫌がられますが、この仲間には園芸種も多く盛んに栽培される品種もあります。しかし、和名が付けられているものは少なく学名の種名で呼ばれるものが殆どです。学名の属名はオキザリスで日本の自生種は5~7種とされています。中にはムラサキカタバミのように観賞用として南アメリカから持ち込まれ、立派な?雑草としてはびこっているものもあります。
 オキザリスは世界で800~850種もあり、南アフリカ、南アメリカ原産種が多いようです。1年草、多年草、球根植物などがあり多肉植物もあります。花は比較的大きく、色も多彩、開花時期も品種によって異なり、開花時期の異なるものを栽培し、年中開花させることも可能です。栽培としては乾燥気味で、十分な日照が得られる場所であれば、耐寒性のある品種の路地栽培も容易です。
 学名の「oxalis」はギリシャ語の「oxys(酸性の)」からきており植物体に蓚酸を含むため、かじるとすっぱく感じます。空中酸素で酸化されて黒く汚れた10円玉(銅が酸化銅に変化して変色)をオキザリスの葉で磨くと、この蓚酸の働きで還元され元のピカピカの銅金色になります。
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おきざりす1
オキザリス2
▲秋冬咲き、黄花種(オオキバナカタバミ)
▲秋冬咲き、白花種
おきざりす3
おきざりす4
▲秋冬咲き、桃色種
▲銅葉、桃色種
オキザリス1
▲春夏咲き、桃色種(イモカタバミ)

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