クロケシツブチョッキリゾウ(№294)

 バラの新芽が伸び蕾もちらほら見える頃、バラの新芽や蕾に体長3mm程度で光沢のある黒い甲虫が見られることがあります。これはクロケシツブチョッキリゾウといって、オトシブミ科チョッキリゾウムシの仲間です。触角が口吻(長く伸びた口)の中央付近の左右に伸び る特異な形をしています。
 バラの重要な害虫の一つで、バラ苗と共に北海道を除く全国に広がっている日本特産種です。樹上生活を送り、飛んで逃げることは少ないですが驚くと死んだ真似をして地上に落下(偽死)します。この性質を生かして、油を張った容器で成虫を受けて捕殺することも出来ます。
 成虫で越冬し、越冬成虫は4~5月、第1化成虫は6月下旬~7月、第2化成虫は9月以降に発生します。成虫は新芽に穴を開け、産卵後その茎の下部を咬むため上部は萎凋し、幼虫は枯れた新芽や茎を食害して成長します。成虫は蕾、新梢、葉を食害し、越冬成虫と第1化成虫はバラの他に、キイチゴ類を食害しバラの大害虫として嫌われています。第2化成虫はサルスベリ、クヌギ、コナラ、アベマキなどを食害します。幼虫は土中で蛹になります。
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▲バラのクロケシツブチョッキリゾウによる被害
▲クロケシツブチョッキリゾウ成虫

トベラキジラミ(№293)

 海岸沿いの民家の庭や公園の生垣にはトベラが植えられていることが多くあります。しかし、5月中頃になるとトベラの新葉の中心部に白いひも状のものが見られ、新葉が縦方向に巻き、萎縮したような症状が見られることがあります。後に葉が黒く汚れ、煤が付いたようになることもあります。
 これはトベラキジラミが発生し、成虫、幼虫による吸汁害とその排泄物にすす病が発生した結果です。幼虫は、白いひも状のものを出し発生が多いと新葉が縦に巻きます。これも一種の虫こぶでトベラハマキフシと呼ばれます。
 成虫は体長(翅の端まで)3・5mm程度の小さなセミのような形をしたカメムシの仲間で、成虫で越冬します。前翅後縁に黒紋があるものをマダラトベラキジラミ(仮称)として分ける報告もあります。
 よほどのことが無い限り、トベラキジラミの被害でトベラが枯れるような事はありませんが、生垣などに植えられていると見苦しい状況になります。薬剤散布で成幼虫を殺すことは難しくありませんが、葉の回復は望めませんので早期防除が必要です。
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▲トベラキジラミによるトベラの被害
▲トベラキジラミ(マダラトベラキジラミ)成虫

ニホンミツバチ(№292)

 日本のミツバチには土着種のニホンミツバチと蜂蜜採取のため導入されたセイヨウミツバチがいます。5月から6月にかけて、たまにミツバチの大群に遭遇することがありますが、これはほとんどがニホンミツバチで分蜂と呼ばれます。
 ミツバチの天敵としてオオスズメバチがいます(ニホンミツバチ№19)。セイヨウミツバチは、自然下では天敵のオオスズメバチに駆逐され、養蜂家の管理下以外では自然の営巣や分蜂はほとんどみられません。
 ミツバチは1匹のメス(女王蜂)を中心に1つの群を形成しています。女王蜂が産卵し、働き蜂の数が増えることは群が大きくなることを意味しますが、群の数が増えることにはつながりません。種の繁栄には群の数が増えることも重要です。そのために古い女王蜂は、半数程度の働き蜂と共に古巣を離れ新しい群を作ります。それが分蜂です。
 女王蜂と共に古巣を離れた一群は、一時的に近くの枝などに球状に群れ(蜂球)、斥候役の蜂が新しい巣の候補地を探します。観察していると、斥候役は蜂球の下部の出入り口から中へ入り、その場でミツバチダンスにより報告をしているのが見られます。この報告の中から最適の場所を決めるのでしょうが、この決定権はどの蜂が持っているのでしょうか。やはり女王蜂でしょうか。
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▲苗圃に現れたミツバチの大群
▲モッコウバラのアーチに集まりだしたミツバチ
▲蜂球の下部でミツバチダンスをする斥候蜂

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