ニホントカゲ(№288)

 トカゲは爬虫類の仲間で、変温動物(体温が外温に左右され、低温では活動が鈍る動物)です。冬季は体温を維持できないため、殆ど動くことが出来ません。そのため、晩秋になると土中に穴を掘り寒い冬をじっと動かずに過ごします(冬眠)。
 堺市立ふれあいの森で越冬中のトカゲが見られました。正確にはニホントカゲと呼びます。外見上見分けが出来ないトカゲにヒガシニホントカゲ(愛知、滋賀県以東)と伊豆諸島に
オカダトカゲがいるそうですがこれら3種はDNAの分子系統解析などで別種として区別されるようになりました。
 写真で褐色の大きいのはメス成体で、尻尾の青い小型のものは幼体でしょう。メス成体は暗褐色で5本の明色縦縞が入り尻尾は青味がかります。
 餌は昆虫、クモ、甲殻類、ミミズ、時に果実などを食べます。
 「トカゲのしっぽ切り」としてよく知られる自切は天敵から逃れるため自分で尻尾を切って逃げることですが、自切したトカゲの尻尾は再生します。しかし、元の大きさにはなりにくいようです。また、尻尾の骨は再生しないため、軟骨が尻尾を支えるような状態になるそうです。
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▲ニホントカゲ(メス)
▲ニホントカゲ(幼体)

カニクサ(№287)

 夏草が枯れ、一面茶褐色の冬景色に変わったフェンスや石垣に薄緑色のツル植物がからんでいるのが見られました。関西では夏緑シダ(冬は枯れ、夏季緑になるシダ類)の仲間でカニクサと呼ばれる普通のシダ植物です。暖地では冬も緑のままで常緑シダとされるカニクサですが、関西では場所によって常緑であったり夏緑であったりするようです。別名、ツルシノブ、シャミセンヅルとも呼ばれます。

 非常に強いツルで、このツルを使ってカニを釣ったことからカニクサと呼ぶそうです。石垣などを這い登るツルは、一見茎のように見えますが本当の茎は地下を横向きに走っており、その先端から葉を出します。この1枚の葉が、通常われわれが目にする植物体で、時には数メートルの長さにもなります(写真では3メートル以上になっています)。したがってツルは、葉の主脈であるわけです。また、この葉の先端はどんどん先へ伸びる(無限成長)ため茎と同じ役目をしていると考えられます。
 葉には2種類の形態が見られ、専ら炭酸同化をし養分を作り出す葉(栄養葉)と、炭酸同化もするが胞子をつくり子孫を残すことを中心にした葉(胞子葉)が見られます。葉の先端には胞子葉が多く見られるようです。通常、栄養葉は胞子葉と比べ大型で、葉の切れ込みも少なくなります。
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▲石垣を這い登るカニクサ
▲左:胞子葉  右:栄養葉

ヒヨドリ(№286)

 冬期は植物の芽も硬く、鳥にとっては餌の最も少ない厳しい季節となります。この時期になると、家庭菜園をやっている栽培家から鳥の被害についてよく耳にしますがその加害者の多くはヒヨドリです。

 ヒヨドリはスズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属の中型鳥です。日本では留鳥(四季を通じて同じ場所に生息し、広く移動しない鳥)、または漂鳥(国内で山地と平地を移動しているような鳥)とされています。しかし、一部は南方へ渡る個体もいるようです。
 飛び方に特徴があり、数回羽ばたいた後、滑空を繰り返すため波型に飛びます。通常、樹木の果実(センダン、イイギリ、クロガネモチ、カキ等)を主食にしていますが、花蕾、新芽、花蜜(ツバキ、サクラ等)も餌とします。繁殖期には昆虫なども捕食します。農作物としてはキャベツ、ブロッコリーが最もよく狙われ、イチゴの果実やカンキツの果実なども良く狙われます。写真ではヒヨドリに食害されたブロッコリーやキャベツが葉軸だけを残し、傘の骨のようになっているのが見られます。
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▲家庭菜園のブロッコリーに群がるヒヨドリ
▲ヒヨドリに食べられ傘の骨状になったキャベツ
▲桜の花から吸蜜するヒヨドリ
▲もくれんの蕾を食害するヒヨドリ

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