メタセコイア(№277)

 冬を向かえ、落葉樹は紅葉しますが、落葉針葉樹の中でもよく目に付くのはメタセコイアの紅葉で、その褐色に 色づいた円錐形の樹形は空の青をバックに映えます。
 メタセコイアは日本では化石で発見され、絶滅種と思われていましたが中国で現存することがわかり化石植物と呼ばれています。ヒノキ科セコイア属に属し、葉は長さ3cm程度、幅1~2mmで羽状に対生(茎の1つの節に2枚の葉が向かい合って付く)します。芽を出すときは1枚の小さな葉の付け根から出るところから、それぞれ単葉で複葉でないことがわかります。中国原産で樹高30m以上に伸びます。アケボノスギ、イチイヒノキなどと呼ばれることもあります。
 ところで、メタセコイアに非常によく似た落葉針葉樹にラクウショウがあります。こちらも紅葉、落葉し円錐形の樹形をしています。メタセコイアとの区別点は葉や枝が互生(茎の1つの節に1枚の葉が互い違いに付く)すること、湿潤地に生育すると呼吸根(気根)を出すこと、球果(果実)の形が違い、熟すとバラバラになる(メタセコイアでは落ちてもバラバラにならない)ことなどで区別できます。ヌマスギと呼ばれることもあり北米・メキシコが原産地です。
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▲新緑のメタセコイアの並木道
▲紅葉したメタセコイア
▲メタセコイアの葉(対生)
▲メタセコイアの球果
▲ラクウショウの葉(互生)
▲ラクウショウの球果(未熟果)
▲ラクウショウの気根

キノカワガ(№278)

 寒風が吹く雑木林にシラカシの木がありました。その幹が二股に分かれたところにガの成虫らしいものを見つけました。翅の色、模様が木の皮そっくりなだけでなく、翅の表面までがでこぼこしており、いかにも木の皮の様子をしています。
 このガの名前はそのものズバリ、キノカワガです。色は茶褐色、緑がかった褐色など変異に富むそうです。自身の体色にあった幹や枝に止まるとフット消えたように姿が見えなくなることがあります。しかし自身の体色にあった幹を選んで止まるのではないらしく、せっかくの保護色が生かせてない場面も見られます。
 年2回の発生で、冬は成虫で越します。越冬は木の幹表面で、葉陰や木の皮の下などに潜ることはありません。変温動物ですから、寒い冬には動きも鈍いはずですが、つついたりすると意外と素早く逃げ出します。幼虫は緑色のイモムシでカキの葉を主として食害しますが、マメガキ、トキワガキ、ニワウルシ、サクラ等も食べるようです。
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◀キノカワガ成虫

トクサ(№279)

 和風庭園の根占に使われることが多く、細い茎がまっすぐに伸びる植物はトクサです。
 比較的寒地の植物で、分類上はシダの仲間です。高さ、1mぐらいまで伸びやや湿地を好みます。地下に伸びた地下茎の節から直径4,5mmの真っ直ぐな茎を立ち上げます。シダ植物ですから、葉があるはずですがそれらしいものは見つけられません。実は、真っ直ぐ立ち上がった茎に、ところどころ節があり、その節にハカマ状のものがありますがこれが葉の変化したものです。また、シダ植物は胞子で増えますが、この真っ直ぐな茎には胞子らしいものが見当たりません。夏季には、この茎の先端にツクシの頭のようなものが見られることがありますが、これが胞子葉群と呼ばれ胞子をつける器官になっています。実際には、地下茎が伸び周辺に広がるだけでなく、茎からの発根は容易で、折れて地表に接した部分から発根し増殖することもあるようです。園芸品種として斑入りや黄色のものもあります。
 茎
にはケイ酸を多く含んでおり、手で触ってもざらざらするのがわかります。これを利用して、高級ツゲグシ、漆器、木製品やクラリネットの竹製リード(振動し音を出す薄片)の研磨に現在も使われているそうです。また漢方薬の「木賊(止血、涙目、下痢止めなど)」として利用されています。
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▲和風庭園によく使われるトクサ
▲トクサの自生状況
▲トクサの葉の痕跡と胞子葉群

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