アカハネオンブバッタ(№273)

 オンブバッタについては本シリーズの№17オンブバッタにも記載しましたが、花類をはじめ野菜の葉にも大きな食害痕を残す害虫として嫌がられています。このオンブバッタと大きさや外見からは全く区別できないアカハネオンブバッタが2011年に大阪で見つかりました。アカハネオンブバッタはもともと南方系の昆虫で、中国、台湾、韓国、トカラ列島以南の南西諸島に生息していましたが最近密航してきたようです。2014年には大阪南港付近を中心に従来のオンブバッタと入れ替わって本種のほうが多い地域も見られます。  アカハネオンブバッタの特徴は、後翅基部が赤褐色であることです。さらにオンブバッタは飛べませんが、アカハネオンブバッタは翅を羽ばたかせて近距離の移動も出来るようです。

 食性はあまり変わらないようで、キク科、シソ科、ヒユ科、タデ科、ナス科、ヒルガオ科など多種類の植物を食べるようです。今のところ、従来のオンブバッタと変わらない状況ですが、移動力がつよく拡散が早いようです。しかも従来のオンブバッタと入れ替わる勢いで増えている点、今後の動きが気になります。
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▲アカハネオンブバッタ
▲メス成虫  左:オンブバッタ 右:アカハネオンブバッタ
▲オス成虫  左:オンブバッタ 右:アカハネオンブバッタ

ブラシノキ(№272)

 最近、庭園樹としてよく見られる樹木にブラシノキがあります。フトモモ科の樹木で、オーストラリア原産の常緑中木です。 4月以降8月頃まで花をつけますが、花は花軸の周囲に付き花穂を形成します。花弁は小さく殆ど目に付きません。雌しべの花柱と多数のおしべの花糸が長くなり、赤または白の花にみえます。これが花軸のまわりにつくためボトルブラシのように見えるのでブラシノキと呼ばれます。この花は後に結実し、果実が幹を取り巻くように付きます。赤花をキンポウジュ、白花をマキバブラシノキともいいます。
 この植物の変わった点は他にもあり、花後、花軸の先端が伸び次の茎になります。そのため茎の途中に果実が付いた状態となります。また、原産地オーストラリアでの発芽は、山火事等で熱により果実が開き種子が散布されるそうでこれもブラシノキの特徴となっています。果実を割って種子を撒くと、よく発芽するようです。
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▲開花直後 小さな花弁が赤い雄しべの基部に見えます。雄しべ、雌しべともにぐるぐる巻いた状態です。
▲雄しべ雌しべがまっすぐ開き、基部に蜜があるのでしょうか、アリが来ています。
▲果実。花軸の中心から新しい枝が伸びます。

カネタタキ(№271)

 夏の終わりから11月頃まで、夜になると街路樹や庭園樹の間からチンチンチンという虫の声が聞こえます。昼間聞こえることもあります。カネタタキの鳴く声です。
カネタタキは成虫の体長9~15mmのバッタの仲間です。カンキツ、柿、ビワ、などの果樹やマキ、マメツゲ、ヤマモモ、アラカシなどの庭園樹の上に生息します。果樹では果皮をかじり、表面をコルク化させたり、時には果肉にまで穿孔食害することもあります。特に、スダチやカボスなど果皮を商品にするものではその被害は甚大です。
 カネタタキの声は、単独でメスを呼ぶ場合はチッチッチッと、オス同士の威嚇の場合はチチチチッと激しく、雌雄の恋のささやきは優しく小さな声で チッチッチッ と鳴くなど状況に合わせて鳴き方が変わります。じっくり聞いてみるのも面白いですよ。
写真はオスで鳴くための翅を持っていますがメスには翅はありません。
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