エンマコオロギ(№235)

 夏も盛りをすぎると、あちらこちらからコオロギの声が聞こえるようになります。関西で最も大型のコオロギはエンマコオロギです。丸顔で、人間の眉に当たる部分が白っぽく閻魔(えんま)様が怒った様な顔に見えることからエンマコオロギと名付けられたようです。
 もっとも普通に見られるコオロギで、体長26~32mm、雑食性です。卵から孵化した幼虫は、翅は小さく飛べませんが、その体は成虫を小さくしたような体で脱皮の度に大きくなっていきます。写真下は最後の脱皮をして成虫になるところです。蛹の時期がなく不完全変態と呼ばれます。脱皮直後は色も白く、体も柔らかいため、多くの敵に狙われます。産卵管が長く、翅脈がすんなりしているのはメス(写真中左)で、産卵管がなく、翅脈が複雑なのがオス(写真中右)です。
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▲エンマコオロギ
▲エンマコオロギ雌成虫
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▲エンマコオロギ雄成虫
▲脱皮直後の成虫

トビイロウンカ(№237)

 秋は農家の皆さんにとって待ちに待った収穫の季節です。しかし、今年はあちらこちらで写真上のように、水田の一部に稲が丸く枯れ上がる症状(坪枯れ)が見られました。
この枯れた部分の稲をかきわけて株元を見ると写真下左のように、小さな褐色の点(3~5mm)がたくさん見えます。しかもこの点はチョコチョコ動き回っています。これは、トビイロウンカです。稲を食害し害虫として問題になるウンカ・ヨコバイ類にはトビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ、イナヅマヨコバイがありますが、最も被害が深刻なのは、トビイロウンカです。
 トビイロウンカは、初夏の頃、ジェット気流に乗って中国方面から日本へやってきます。多数の成虫が水田に入ると、羽の短い成虫(短翅型といい、あまり移動せずにどんどん増殖するタイプ)が現れ、瞬く間に大量のウンカが発生することになります。初期には外見上なんの被害も見られませんが、収穫間際になって坪枯れが発生し大被害を及ぼします。
 稲しか食害しないため、日本では越冬できず毎年中国方面からやってきて、時に大きな被害を及ぼします。
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▲トビイロウンカによる坪枯れ
▲稲を加害するトビイロウンカ
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▲トビイロウンカ長翅型成虫と卵

クヌギ(№236)

 大阪府南部、二上山から葛城山、金剛山に連なる尾根道は「大阪ダイヤモンドトレール」と呼ばれるハイキングコースになっています。この道中で、クヌギの木を見つけました。クヌギの殻斗(ぼうし)は自然工作の格好の材料として使われます(写真上、円内の小鳥の巣)。ところが、このクヌギは写真(上)のように、幹に取り付けられた標識看板を飲み込もうとしています。これは、クヌギが大きくなる際、邪魔な看板を取り込むような形で肥大していった結果です。最後には完全に幹の中に取り込んでしまうのでしょう。
 クヌギだけではありません、街中の街路樹、クスなどもフェンスを取り込もうとしています(写真下)。庭木でも木の名前を書いたラベルを針金で取り付けたままにしておいたため、針金が幹に食い込んでしまうことがあります。この場合、幹を一周して締め付けるため、その部分から先が枯れる場合も見られます。樹木に結びつける場合、長年のあいだに腐ってしまうシュロ縄が使われるのはこのような被害を防ぐためです。
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▲標識看板を飲み込むクヌギ(〇枠内は殻斗を使った工作)
▲フェンスを飲み込むクス
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▲フェンスを飲み込む街路樹

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