キンクロハジロ(№174)
冬になると各地の池が水鳥で賑やかになります。その中にやや小型の白黒ツートンカラーの鳥がいます。目は金色、体は黒、羽が白でキンクロハジロ(金黒羽白)と呼ばれます。
シベリアやヨーロッパ北部で繁殖し、越冬に日本へもやってきます。貝類が好物ですが雑食性で水草、昆虫、甲殻類なども食べます。オスの頭の後ろには寝癖?の付いた毛(冠羽)があります。メスは、キンクロハジロの名前に合わない茶褐色の地味な色です。
オスを正面から写真に撮ると、なかなかハンサムです(人によっては目つきが悪いとか)。撮影中に、ラッコの真似だってできるよとばかりにお腹を上にし背泳ぎを見せてくれました。
ヒメマルカツオブシムシ(№172)
昆虫標本保存のため、冬の作業として年1回防虫剤の補充を行っています。今年もその時期到来とばかりに標本箱を開けてびっくり。貴重な標本のいくつかがボロボロになっているではありませんか。しかも、標本本体に毛のふさふさした幼虫がぶら下がっていました。特に尾端にある毛は槍状毛といい、驚くと扇子のように広げてかわいく(本人は威嚇のつもり?)見えます。
これはヒメマルカツオブシムシの幼虫で、動物標本、乾物や毛織物類を食い荒らす大害虫として有名です。4mmぐらいの大きさまで成長し、初夏のころ屋内で羽化、交尾、産卵をします。成虫は約3mm程度の褐色斑点を持つ甲虫で、産卵後、屋外に出て白い花(マーガレット等)に集まりよく吸蜜します。吸蜜後、再び屋内に侵入する個体はそう多くないようで、吸蜜はまるで余生を楽しんでいるようにも見えますね。
ソシンロウバイ(№173)
1月も下旬になると蝋細工のような黄色い花をつけた低木が見られるようになります。花の中心部まで黄色いのはソシンロウバイ、暗紫色のがロウバイ(写真囲み内)です。花の一番外側は褐色でガクのようですが花弁とはっきり区別できず、まとめて花被と呼ばれます。
花のない時期でもあり、この花を知っている人は多いのですが、果実、種子は気に止める人も少ないようです。夏には長さ3~4cmのイカのような形をした実(偽果)をつけます。イカの足のように見えるのはおしべの残骸です。秋になり落葉すると偽果は枝にぶら下がった干し柿のように見えます。偽果の中に数個の種子が入っていますが、種子はクロゴキブリの卵鞘(卵を入れた鞘)そっくりです。
イカに似たり、干し柿に似たり、クロゴキブリの卵鞘に似たりしますが勿論擬態ではありません。他人の空似というのでしょうか。