ワタヘリクロノメイガ(№127)

  今夏、我が家の団地のベランダに日除けのためにゴーヤを植えました。5月から10月まで簾(すだれ)の役目を立派に果たしてくれましたが、9月末頃からベランダに小さな虫の糞が落ち始めました。確かに虫がついているのですが、その姿を見つけることができません。そのうちに糞が大きくなって、葉がかじられている(食害痕、食痕)のを見つけました。その葉をよく見ると、背中に白い2本の線を付けた、つやのある2cmぐらいの幼虫を見つけました。
  これはノメイガの仲間で、ワタヘリクロノメイガの幼虫です。ワタ、オクラ、キュウリ、メロン、スイカ、ムクゲ、クワなどの害虫として知られています。
  幼虫はやがて葉を巻いて中で蛹になり、開長(翅を広げたとき、左右の前翅の先端間の長さ)2.0cmぐらいの蛾が出てきました。前後翅の外側が黒く縁取られ、中が白い面白い模様の蛾です。成虫は尻尾をぐるぐる回しながらあちこち飛び回る愛嬌者ですが、幼虫にゴーヤの果実までかじられてしまい、ゴーヤごと処分される運命になってしまいました。
▲ワタヘリクロノメイガ成虫
▲ワタヘリクロノメイガ幼虫
▲ワタヘリクロノメイガ蛹

ススキ(№128)

 日本の秋景色にススキはなくてはならない植物です。植物である以上花が咲きます。ススキの穂が出てしばらくすると写真のように黄色の小さな袋状のものがぶら下がるのが見られます。この頃が、ススキの開花期で、小さな袋状のものは花粉の入った袋(葯)で、褐色の短いひげ状のものが雌しべです。では花弁(花びら)はどれでしょうか。実は花弁はありません。
 ススキは風媒花(花粉が風で運ばれる)植物で、花粉を昆虫が運ぶ植物(虫媒花)のように、虫を集める必要が有りません。そのため植物自身には役に立たないきれいな花弁、いい香り、甘い蜜などは風媒花の植物には殆ど有りません。風媒花は花粉媒介を風任せにするため、受粉確率が非常に低いので花粉の量を多くすることで対応しています。そのため花粉症の原因として騒がれることもあります。
 写真のススキは斑入りでヤバネススキ、タカノハススキ、トラフススキ、ゼブラススキ、などと呼ばれる園芸種です。
 ススキは開花後種子(頴果)をつけますが、白毛があり穂全体が白く見えます。また未熟種子は軽く焼いて醤油をつけて食べることができますよ。
▲開花中のススキ
▲ススキの花

ナナフシ(№129)

  昆虫はよく擬態(他のものに色形を似せること)をする生き物として紹介されます。本HPでもいくつか紹介しましたが、今回は木の枝に擬態した昆虫ナナフシです。日本には19種以上がいるそうですが最近その分類も見直されようとしています。生態についても未知の部分が多い昆虫です。一般的に不完全変態(蛹の時期が無い)で夜行性です。単為生殖(オスは殆ど見つかっていなく、交尾せずにメスだけで増える)し、産卵も食草(餌とする植物で、ナナフシの場合クヌギ、コナラ、シイ、サクラなど)と関係なくバラバラと撒き散らすように産卵します。ちなみに、卵も雑草の種子によく似ておりこれも擬態の1種といわれています。
  他の昆虫と比べ胸が長く、そこから弱々しく長い脚をだしています。敵につかまると脚を切り離して逃げます(自切)が、脱皮のたびに少しずつ新しい脚が伸びてきます。
◀ナナフシ

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