アリグモ(№126)

 クロヤマアりがうろうろしていると思い、じっくり見ると、時々、ピョンと跳ねたり糸を吐いてぶら下がったりします。糸を吐くアり?
 実はこれは、昆虫のアりではなく、ハエトリグモの仲間でアリグモというクモの仲間です。頭と胸の間がくびれており、8本の脚のうち左右の前脚を持ち上げ、まるで触角のように見せているためアりそっくりに見えます。しかし、顔を正面から見ると、アりのように大きな複眼はなく、自動車のヘッドライトのような単眼と小さなスモールランプのような単眼が見られ、大顎も発達して大きくやはりクモの顔です。普段は、網も張らず餌を求めてうろうろしています。
 アりそっくりに見えるのはやはり擬態でしょう。しかし、なぜアりの姿に似せているのでしょうか。擬態は餌をとるためか身を守るためが多いのですが・・・。
 このクモはアりを餌にするためと考えられたこともありましたが、アりを食べないようです。では、アりは天敵が少なく身を守るのに便利なのでしょうか。
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲アリグモ
▲アリグモの頭部

ポプラ(№125)

 日本にはポプラと呼ばれる樹木として、イタリアヤマナラシ(セイヨウハコヤナギ)とカロリーナポプラがあります。前者は北日本に多く竹箒のような形をしています。後者は、北米原産でヤヤ丸型をしています。
この仲間は少しの風でも葉が揺れるのをご存知でしょうか。カシなどの広葉樹と並んで植えられているところで観察すると、カシ類の葉がまったく動かない程度の微風でもポプラの葉はヒラヒラしていることがよくあります。
 これには仕掛けがあります。ポプラの葉の柄(葉柄)を手で触ってみると、葉の付け根が平たくなっているのがわかります。細長い紙は、そのままであればヒラヒラしますが、筒状に巻くとしっかりしますね。ポプラの葉が少しの風でヒラヒラする仕掛けは紙のような平らな葉柄にあります。
 学名の属はPopulusと言いますが、これは「震える」と言う意味です。日本の、ヤマナラシやドロノキなどもこの仲間です。ヤマナラシは、少しの風で山がザワザワ鳴るという意味です。
 この仲間は、根が浅く大きくなると、風で倒れることがよくあります。風が吹くと葉を揺らし、風に肩透かしを加え、倒されるのを防いでいるのでしょう。
▲ポプラの葉は微風でもゆらゆら揺れています
▲ポプラの葉柄に注目
▲葉柄の断面 左:葉身近くは縦長、右:茎側は横長

ツマグロヒョウモン(№124)

 橙黄褐色に黒と白のきれいな模様を付けたチョウがよく目立つようになりました。ツマグロヒョウモン(ヒョウモンチョウの仲間)のメスです。オスには黒と白の模様はついていません。メスの模様はよく目立ち飛び方もゆっくりしています。チョウの天敵で一番恐ろしいのは鳥ですが、このように目立つ模様と、ゆっくりした飛び方をするものは、食べてもまずいか体に毒を持っているものが多いのですが、このチョウはそうではないようです。では、なぜ目立つ模様とゆっくりした飛び方をするのでしょうか。
 このチョウは、もともと南方のチョウで、カバマダラという有毒なチョウと同じ地域で生息しており、ツマグロヒョウモンのメスだけがカバマダラに擬態し、あたかも有毒なように見せかけ、鳥から逃れているのです。
 ところで、地球温暖化の影響もあるのでしょうかツマグロヒョウモンは、最近どんどん分布域を北上させています。しかし、カバマダラは、ついてこなかったため、日本では、意味の無い擬態になってしまいました。でも、南へ渡る鳥たちは勉強しているのかもしれませんね。
▲ツマグロヒョウモンの幼虫
▲羽化直後の成虫
▲ツマグロヒョウモンのメス成虫

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