ヒメクダマキモドキ(№105)

 冬期、樹皮の隙間に産卵管を突き刺した昆虫を見かけました。ヒメクダマキモドキのメスが産卵している最中でした。
 ツユムシ科の昆虫で、キリギリスやコオロギの仲間です。南方系の昆虫で、かつては三重県、和歌山県の一部でしか見られなかったものですが、最近は南大阪のあちこちで見られるようになりました。寒さにも強いらしく、この写真は、12月26日に撮影したものです。
 名前のクダマキはクツワムシのことで、小さなクツワムシに似た昆虫、の意味でしょう。
 成虫はメス、オスともに鳴き、聴覚器官(耳)は前脚の頸節についています。産卵は扁平な楕円形の卵が2本の剣のような産卵管の間を通って樹皮の下に産まれます。

▲産卵中のヒメクダマキモドキ
▲ヒメクダマキモドキの卵

オオアカウキクサ(№104)

 冬期、池の表面が赤く変わっている景色に遭遇することがあります。これはアカウキクサの仲間(学名の属名はAzolla)が繁殖したためです。これは、水草ですがシダの仲間です。学名はAzo=乾燥+ollo=枯れるの意味で、乾くとすぐに枯れてしまいます。
 この仲間には自生種、侵入外来種、導入交雑種が有り、自生種オオアカウキクサは絶滅危惧2類で、侵入外来種には特定外来生物(水田雑草として扱われ、増殖、移動等禁止生物)に指定されているものが有り、適切な導入交雑種の中にはアイガモ農法と併用(アイガモの餌、空中窒素の固定、雑草防除など)するため導入されているものもあります。これらを同定するのはムシメガネでは難しく、DNA鑑定によるそうです。この仲間を見つけたときは、害なのか、益なのか判定は難しいですね。

▲アゾラに覆われた池
▲アゾラ表面
▲アゾラ裏面

ミイデラゴミムシ(№103)

 当社育苗圃場の整理中、石の下から越冬中のミイデラゴミムシが這い出してきました。
ミイデラゴミムシは甲虫の仲間に分類され、幼虫は昆虫のケラが土中に作る卵の部屋(卵室)に侵入し、その卵を食べて育ちます。
 成虫は、肛門とは別にガスの噴射口を持ち、敵に襲われたような時には、ここから、高温(100℃といわれます)、高圧で悪臭のするガスを発射します。この噴射口は尾端を動かすことで、噴射の方角を変えることができるようですが、同じようにガスを発射するマイマイカブリは微妙な調節をすることで狙い撃ちができるそうです。このような習性からヘッピリムシとも呼ばれます。しかし、肛門から出るわけではないので、屁とは違いますね。  このガスは、2種の化合物を別々に合成、貯蔵しておき、いざと言うときに混合、化学反応させガスとして発射させるそうです。
 名前のミイデラは、三井寺の鳥羽絵に「放屁合戦」があるところから名づけられたようです。
◀ミイデラゴミムシ成虫

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