クヌギカメムシ(№102)

 冬期、クヌギの幹の表面をよく見ると緑がかったカメムシが歩き回っています。クヌギカメムシが産卵の場所を探しているのです。クヌギの幹の割れ目やヒロヘリアオイラガの繭殻の中などに産卵します。写真ではクヌギの幹の割れ目に産卵中の成虫が見られます。産卵しながら上へ登っていくようで、卵はゼリーのようなもので覆われています。
 外見がそっくりなカメムシがいます。サジクヌギカメムシとヘラクヌギカメムシですが、写真のカメムシは気門が黒いためクヌギカメムシです。
 冬のさなかに産卵するのはなぜでしょうか。


◀産卵中のクヌギカメムシ

ヤブラン(№101)

 ヤブランが実をつけています。普通われわれが実と呼んでいるものは果実で、中に種子が入っています。果実は雌しべと子房が肥大したもので、種子は子房の中の胚珠が肥大したものです。ですから果実には雌しべの柱頭(雌しべの先端部)の痕跡が残っていて、果実の柄と反対側に臍のようになっていることが多いです。
 さて写真のヤブランの実ですが、この実には柱頭の痕跡は無くつるっとしていますね。つまりこれは種子そのものが外にむき出しになっているからです。しかも1つの果(花)柄に未熟の種子、途中で発育しなくなったもの、すでに落ちてしまったものなどを含め6個の種子がくっついています。これは1つの花に6つの胚珠を持つためで、実に見えるものが種子であることを意味しています。被子植物の中で、このように種子がむき出しになっている例は極めて少なくフイリヤブランやジャノヒゲの仲間に知られています。
▲ヤブラン
▲ヤブランの種子
▲ヤブラン種子の断面

シマサシガメ(№100)

 冬のある日、クスの木にかけてある名板(木の名前を書いた札)をそっとのけてみると、下に越冬中のカメムシの大群が見つかりました。これはシマサシガメの越冬中の幼虫です。暖かくなると、草原等で、ハムシなどの甲虫類やチョウ目の幼虫の体液を吸って生きています。成虫の腹部各節側面は白と黒で、背面から見ると横縞状に見えます。また、脚部は黒く、各腿節に3個、徑説に1個の白斑がありこれも縞に見えます。北海道以外の日本全国に生息する普通種です。
 この仲間には昭和初期にインド、中国方面から日本に侵入して来たヨコヅナサシガメがいます。分布域を北上させています。サクラ、エノキ、ケヤキなどの広葉樹に多く生息し、背中で重ねた翅の両側にはみ出した腹部の端が、白黒のゼブラ模様で横綱の化粧回しに似ているところから、ヨコヅナサシガメと呼ばれます。
 サシガメの仲間は頭の下へ折りたたんだ大きな口吻を他の昆虫などに差し込み体液を吸収しますが乱暴に扱うとこの口吻で人間も刺されることがあり大変痛いそうです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲シマサシガメの越冬幼虫
▲シマサシガメ越冬幼虫
▲シマサシガメ夏季にみられた幼虫
▲ヨコヅナサシガメ成虫

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