クビキリギス(№97)

 小雪舞う12月、クビキリギスが庭木につかまり寒風に耐えていました。
 キリギリスの仲間ですが成虫で冬を越します。春先から、「ジージー」と鳴き、ケラの声と間違われることもあるようです。幼虫は、初夏に現れ、9~10月に成虫となって、そのまま越冬し翌夏まで生きています。飼育下では二冬を越すものもあるそうです。単為生殖(メスだけで産卵する)することもあります。植物食傾向の強い雑食性です。この写真では褐色の体をしていますが、緑色の個体もいます。たまにピンク色のものも見つけられ、「赤いバッタ」として話題に上がることがあります。
 口の周囲が赤く、口紅をつけたように見えます。このことから血吸いバッタと呼ばれたりします。咬む力が強く、咬まれるとかなり痛みます。無理に引き離そうとすると首が千切れることもあります。このことから「クビキリギス」と呼ばれます。
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲クビキリギス
▲クビキリギスの赤い唇

ナギ(№98)

 写真の植物は何の変哲も無い樹木の葉に見えますが、これが針葉樹の一種と聞かされると驚きです。マキ科マキ属でイヌマキの親戚です。葉脈(葉に入っている筋)が平行に走っているのがわかりますか。イヌマキの葉を中央部分で膨らませたようなものです。
 この木は神社でよく見られますが、人が植えたもので野生で見ることはめったに有りません。ところが、奈良春日大社にはナギの林が見られます。これは鹿が食べない、樹皮にナギラクトンと呼ばれる物質がふくまれ、これが他の植物の生育を抑える働きをする(アレロパシー)、神木として人間が大切にしてきたなどの理由によるものと言われています。
 災いをナギ払うに通じるため神木に、また凪(なぎ:海上で無風状態を言う)に通じるため航海安全の神とされ、葉を葉脈に沿って引っ張っても切れないところから縁結びの神としても大切にされてきました。
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲ナギ
▲ナギの葉脈

ユーカリハムシ(№99)

 各地の公園や、植物園にはユーカリの木がうえられています。コアラの餌用としても栽培されるようです。日本ではユーカリを食害する害虫は殆ど見られませんでした。しかし、さいきん、このユーカリの葉が食害された痕跡を見かけるようになりました。
 写真のような食痕で、これはユーカリハムシによるものです。このムシはオーストラリア原産で、2007年7月に大阪府寝屋川市で見つけられ、2008年には鶴見緑地や大阪市大でも見つけられました。その後、大阪南部の各地で発見されています。2009年には関東でも見つけられています。
 写真は、堺市南区で撮影しました。成虫は、昼間はユーカリの樹皮の下に潜み、夜間活動するため、なかなか見つけることができません。幼虫も樹皮の下のくぼみに潜んでいます。成虫で越冬するようです。
 さて、日本に天敵はいるのでしょうか。天敵がいないと大発生することになるのでしょうか?
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲ユーカリハムシによる食痕
▲ユーカリハムシ成虫

ページトップへ